橋梁崩落事故、太平洋港への輸送ルート寸断でコーヒー輸出などのコスト上昇に懸念

(コロンビア)

ボゴタ発

2023年04月19日

コロンビア西部のキンディオ県とバジェ・デル・カウカ県の境を流れる河川にかかる橋梁(きょうりょう)が4月12日に崩落し、死傷者17人を出す事故が発生した。同国の太平洋側に面する唯一の主要港ブエナベントゥラ港と首都ボゴタを結ぶ主要道路にかかる橋であることから、コーヒーをはじめとする農産物輸出の輸送コスト上昇や、輸入物流コスト上昇による国内の物価への影響が懸念されている。ギジェルモ・レジェス運輸相は30~45日以内に暫定的な軍用橋梁を設置すると発表している。

港湾統計によると、ブエナベントゥラ港の総取扱貨物量は1,900万トンで、国内全体の11.7%を占め、コンテナ取扱数は121万TEU(20フィート換算コンテナ個数)で同26.4%を占める。太平洋側の唯一の主要港のため、特にアジア諸国との輸出入や、同港を利用する輸出入品の輸送コスト増が予想されている。全国貿易協会(Analdex)のハビエル・ディアス会長は「ブエナベントゥラ港からの輸入貨物の70%は首都ボゴタに向かう」という。コーヒー輸出協会(Asoexport)のグスタボ・ゴメス会長は「輸出用コーヒーの62%が同港経由だ。カルダス、リサラルダ、キンディオ、ウイラ、トリマのコーヒー生産地に影響が出るだろう」と話している。

コロンビア農業者協会(SAC)のホルヘ・ベドヤ会長は、農業生産向けの各種資材の多くも同港から輸入されるため、「果物、野菜、鶏肉、卵などさまざまな品目で生産コストが上昇する可能性がある」と指摘している。なお、コロンビアの3月の消費者物価上昇率は1.05%と、既に4カ月連続で1%を超えている。

インフラ庁(ANI)は、橋崩落による輸送路寸断に伴い、一般車向けと大型貨物車向けにそれぞれ迂回(うかい)ルートを提示しているが、迂回ルート後者の場合は通常時と比較し約3~4時間の時間増が発生するとみられている。運輸業者同盟(Fedetranscarga)のエンリ・カルデナス会長は「この迂回ルートを平均2,000台が通行する際、トラック1台当たりの追加コストは1日40万ペソ(約1万2,000円、1ペソ=約0.03円)となる」としている。迂回ルートの通行料改定も検討されているとの報道があるが、正式な発表はまだない。

(アンドレス・ゴンサレス)

(コロンビア)

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