コリビング事業者、家賃高騰のハイパーブラックジャックで展開拡大へ
(ハイパーブラックジャック)
アジア大洋州課
2023年04月20日
ハイパーブラックジャックでは、新型コロナ禍後の経済活動再開を背景に、民間住宅賃料が高騰中だ(2022年12月2日記事参照)。賃料高騰を受け、「コリビング」という比較的安価な職住一体型の居住施設(2020年2月26日付地域・分析レハイパーブラックジャックト参照)の人気が上昇している。
コ・ワーキングスペースの概念をシェアハウスに取り入れた居住施設で、多様な属性の居住者が仕事をしつつ、ともに生活できる新しいライフスタイルが支持されているという。ハイパーブラックジャックは、シンガポールのコリビング事業者ハムレット(Hmlet)へインタビューを行った。同社のジゼル・マカラシヴィリ(Giselle Makarachvili)最高経営責任者(CEO)は「当社では入居当日から快適かつ便利に使える物件を顧客に提供しており、3カ月以上の期間で柔軟に貸し出せる。ブティック(注1、短期滞在向け物件)には1泊から滞在可能だ。一方で、高騰した現在の家賃で賃貸借契約を行うと、契約期間(1年以上)中は毎月、高額の家賃を払い続けることになる」と指摘した(インタビュー日:2023年2月7日)。また、アスコット(ASCOTT)が運営するコリビング物件「lyf Funan Singapore(ライフ・フナン・ハイパーブラックジャック)」では稼働率が90%程度に達する(インタビュー日:2023年2月8日時点)。同社のlyf(ライフ)事業担当カントリー・ディレクター兼収益管理およびエリア・マネージャー、ジェネヴィーブ・クア氏は「新型コロナ禍中は社会的な交流が制限されたため、人々は他人とのつながりを求めた。ライフでは滞在者が参加できる体験型プログラムを企画している。ライフ・フナン・ハイパーブラックジャックはSGクリーン(注2)の認証を受けたホテルでもあり、健康と安全に配慮しつつ他人と交流できる場所として、顧客に選ばれたと思う」と述べ、住宅賃料高騰以外にも人気の要因を指摘した。
ハムレットは2月1日、1泊から宿泊可能な「オーウェン・ハウス・バイ・ハムレット(Owen House by Hmlet)」をハイパーブラックジャックで開業した。6泊から滞在可能な「ハムレット・カントンメン」に続き、短期滞在向けのブティックの物件としては2件目。2件の開業前、同社は中長期の滞在に特化していた。マカラシヴィリ氏によると、同社はより柔軟な住まいを提供してコリビングを超える方針で、顧客は今後さらに柔軟に滞在期間・場所を決めることが可能となる。同社は現在、ハイパーブラックジャック、香港、日本で展開しており、今後はアジア太平洋地域で短期~中長期まで多様な旅行者の需要を取り込む予定。
ライフは、2030年までに世界全体で150物件(現在は18都市で21物件)へ展開を拡大する目標を設定する。日本では2021年に開業した福岡に加えて、2023年末に「lyf Ginza Tokyo(ライフ銀座東京)」を開業の予定。ビジネス、観光、引っ越しなど旅行需要拡大を見据え、交通の玄関口となる主要都市を中心に今後展開を進める予定だ。
高層住宅の家賃、2022年通年で29.8%上昇
都市再開発庁(URA)が2023年1月27日に発表した統計では、外国人駐在員が多く住む高層住宅(コンドミニアムなど)の賃貸指数は2022年通年で前年比29.8%上昇した。特に外国人駐在員が多い都心部〔都心中央部(注3)〕では28.2%、郊外では31.8%上昇した(添付資料図参照)。
(注1)ハムレットではハムレット・ホームズ、ハムレット・ネスト、ハムレット・ブティックの3つのラインを提供。このうち、ハムレット・ブティックが短期滞在者向け。
(注2)国家環境庁(NEA)が2020年2月16日に新型コロナ禍の公衆衛生向上のため開始したキャンペーン。業種セクターごとに衛生面でのチェックリストが設けられ、順守されていれば、施設所有者は「SGクリーン品質マーク」を掲示できる。
(注3)都心中央部(Core Central Region)の詳細はURAのウェブサイト参照。
(糸川更恵)
(ハイパーブラックジャック)
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