ラーブ英副首相兼法相、同僚への嫌がらせ疑惑で辞任

(英国)

ロンドン発

2023年04月24日

英国副首相兼法相、大法官のドミニク・ラーブ氏が4月21日、閣僚職を辞任する意向を表明した。

辞任の背景にあるのは、ラーブ氏の同僚(公務員)に対する嫌がらせ疑惑。同日、嫌がらせ疑惑に関する弁護士による独立調査報告書が公表された。ラーブ氏が閣僚として関与した法務省などの複数の行政機関から苦情が申し立てられたことを受け、2022年11月にリシ・スナク首相がラーブ氏からの要請に基づき外部調査を指示していた。報告書では、ラーブ氏が政策担当者と面会した際、必要以上に威圧的な態度をとり、また仕事の質に関して非建設な批判をするなど侮辱的な行為をしていたことがあったと結論付けられた。

ラーブ氏は自身のツイッターで、スナク首相へ宛てた辞任意向の書簡を公開しているが、調査報告書の内容に関しては一部に「欠陥」があるとし、「善良な政治を執行する上での危険な前例となる」と主張していた。

ラーブ氏は、2010年に保守党議員として初当選。テレーザ・メイ政権下の2018年にEU離脱相に就任。また、ボリス・ジョンソン政権時には、外相兼筆頭国務相に就任し、のちに副首相兼法相、大法官を務めた。ジョンソン氏の辞任後、エリザベス・トラス前首相が選出された保守党首選の際には、対抗したスナク氏支持の立場を取っていた。

スナク首相は、ラーブ氏のこれまでの政府への貢献実績に感謝し、「非常に残念」としながらも、調査報告書の結果から関係者に悪影響を与えたことは明らかとして辞任を受理した。

ラーブ氏の後任として、法相および大法官にはアレックス・チョーク氏が任命された。また副首相は、オリバー・ダウデン氏がランカスター公領相と兼任することが発表された。

BBCやガーディアン紙の報道よると、野党・労働党党首のキア・スターマー氏は、ラーブ氏辞任に関してスナク首相の任命責任と(首相からの)解任に至らなかった点について「二重の弱点」だとして批判した。

(菅野真)

(英国)

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