酷暑期を前にサナンドII工業団地で電力供給が不安定化
(インド)
アーメダバード発
2023年04月28日
4月半ば以降、インド各地において最高気温が40度を超える日が続くとの報道が相次ぎ、電力供給が懸念される5月の酷暑期が目前に迫っている。電力の安定供給では定評があるインド西部グジャラート(GJ)州でも、4月第4週半ばから工業団地において電力供給能力を超える事態が生じている。これは、夏季シーズンの到来に伴う電力需要の急増により、同工業団地に送電する地下ケーブルが一時的に過負荷になっていることが原因とされる。
アーメダバード近郊に立地する州産業開発公社(GIDC)の管轄する「サナンドII」は、日系企業や多国籍企業も多く立地している主要工業団地だが、電力供給が不安定な状態が続いているという。サナンド工業組合では「停電により生産プロセスに影響が出ている企業があり、大きな損失につながることが懸念されている」と推移を見守っている。これに対して、送電設備の整備を行うグジャラート州送電会社(GETCO)は、周辺(チャラル村)のサブステーションからの400キロボルト(kV)送電線の増設が間もなく完了し、同工業団地内の66kVサブステーションも新設されるので、問題が解決するとしている(「タイムズ・オブ・インディア」紙4月23日)。
ジェトロが進出日系企業数社に取材(4月24日)したところ、過去1週間で瞬間停電が断続的に続いており、数時間の長時間停電も散見されているという。ある企業は「これが一時的で単純な問題であるのなら、今のところ大きな問題ではない。ただし、長期化する場合は、自家発電の燃料費や設備への負荷が懸念される」という。また、「通常メンテナンスによる計画停電のケースでは、北部GJ配電会社(UGVCL)より、事前か当日直前に通達がある場合が多いが、現況に関する通達はない」とのことだ。
州政府の電力諮問会の元委員であるKKバジャージ氏は「GJ州の電力需要は5月には2万2,000メガワット(MW)を超えると予想されるが、GJ州電力会社(GSECL)の発電所は45%の低負荷率で稼働し、夏季需要期に向けた方策を取っていない。州電力省は昨年に輸入石炭の高騰で操業停止した2つの発電所を、今年3月から3カ月間の予定で稼働させているが、高コストは消費者に転嫁することになる。また、インドエネルギー取引所(IEX)を通じた電力調達も高コストなため、州内の1,650万の電力需要者は不利益を被っている」と述べ、電力諮問委員会を緊急招集し、諸問題の解決策を検討すべきと述べている(「タイムズ・オブ・インディア」紙4月26日)。
(古川毅彦)
(インド)
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