イスラエル中銀が利上げ、政策金利は2007年以降で最高の4.5%に

(イスラエル)

テルアビブ発

2023年04月11日

イスラエル中央銀行は4月3日に金融委員会会合を開催し、政策金利を0.25ポイント上げ、4.5%とすることを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。金利引き上げは9会合連続となり、政策金利は2007年以降で、最も高い水準となった。

中銀の金融委員会は、インフレ率の高止まりに加えて、イスラエルの経済活動が引き続き活発であり、2月の失業率が3.9%と改善を見せ、労働市場がタイトな状況を維持していることから、今回も金利を引き上げることを決定したという。

中銀によると、インフレの上昇は若干緩やかになっているものの、2月のインフレ率は前年同月比5.2%で高止まりしている。中央統計局が3月15日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした品目別の対前月比の物価上昇率をみると、生鮮果物と野菜(3.8%)、文化と娯楽(0.9%)、食品(0.5%)、運輸(0.5%)といった分野で上昇となった。

中銀のプレスリリースでは、今後のイスラエル経済に関する予測にも触れており、ネタニヤフ政権が進める司法制度改革による一連の政情不安(ネタニヤフ政権、ブラック ジャック)が経済に大きな影響を与えた場合のシナリオも想定している。これによると、司法制度改革の影響が長引いて、リスクプレミアムの上昇、輸出への悪影響、国内投資の押し下げ、民間消費の需要減退などのマイナス要因につながった場合、今後3年間にわたって年間で平均2.8%のGDP押し下げ要因になるとしている。4月3日付「タイムズ・オブ・イスラエル」では、この悲観的なシナリオの場合、経済損失は最大で500億シェケル(1シェケル=約0.28ドル、約139億ドル)に及ぶとしている。

(太田敏正)

(イスラエル)

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