3月の米小売売上高は前月比1.0%減で2カ月連続の減少、ガソリン価格低下などが寄与
(米国)
ニューヨーク発
2023年04月17日
米国商務省の速報(4月14日付)によると、3月の小売売上高(季節調整値)は前月比1.0%減の6,917億ドル(添付資料表参照)と2カ月連続の減少で、ブルームバーグがまとめた市場予想(0.5%減)を上回る落ち込みとなった。なお、2月の売上高(関連ブラック ジャック ディーラー)は前月比0.4%減(速報値)から0.2%減(改定値)に上方修正された。
ガソリンスタンド、総合小売り、自動車・同部品などが押し下げ要因に
売上高の減少は13業種中8業種と広範囲にわたった。業種別にみると、ガソリンスタンドが前月比5.5%減の552億ドル、寄与度マイナス0.46ポイントと全体を最も押し下げた。燃料価格の低下が寄与し、2020年4月(前月比24.5%減)以来の下げ幅となった。次いで、総合小売りが3.0%減の714億ドル(寄与度マイナス0.32ポイント)、自動車・同部品は1.6%減の1,289億ドル(同マイナス0.31ポイント)と減少に寄与した。無店舗小売りは1.9%増の1,156億ドル(プラス0.30ポイント)と増加した。
今回の発表について、格付け会社ムーディーズのバイスプレジデント兼シニアクレジットオフィサーのミッキー・チャダ氏は「半導体不足による自動車価格の急激な上昇から穏やかになり始めたことによる価格低下と、ガソリン価格の低下が3月の小売売上高の減少の一部に寄与した」とした(「バロンズ」電子版4月14日)。また、米コンサルティング会社EYパルテノンのシニアエコノミストのリディア・ブスール氏は「歴史的に高いインフレ率、金利の上昇、クレジットへのアクセスの減少の累積効果は、既に消費者の消費能力と消費意欲に打撃を与えている」「消費は第1四半期(1~3月)が進むにつれて大きな勢いを失い、第2四半期(4~6月)に伸びが弱くなる段階を迎えている」と指摘し、個人消費が鈍化しつつあるとの見方を示した(AP通信4月14日)。
一方、民間調査会社コンファレンスボードが3月28日に発表した3月の消費者信頼感指数(注)は104.2と、前月(103.4)より0.8ポイント増の小幅な増加となった(添付資料図参照)。内訳をみると、現在の雇用環境や経済状況を示す現況指数は151.1(前月:153.0)で前月比1.9ポイント減少し、2022年11月以来4カ月ぶりにマイナスを記録した。他方で、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は73.0(前月:70.4)で前月比2.6ポイント増加した。ただ、期待指数については、2022年3月以降、過去13カ月のうち2022年12月を除く12カ月は、今後1年以内の景気後退を示唆するとされる80を下回る水準となっている。
コンファレンスボードの経済指標シニアディレクター、アタマン・オジルディリム氏は「期待指数の高まりに押し上げられ、3月の消費者信頼感はやや改善したが、2022年の平均的な水準(104.5)を下回る水準にとどまった」「この上昇は、55歳未満の消費者と年収5万ドル以上の家計の見通しが改善したことを反映している」と述べた。同氏によると、今後1年間のインフレに対する期待値も6.3%と、依然として高い水準にあるとしている。自動車などの高額商品の購入計画はやや増加したものの、家電製品の購入計画は全体的に軟調に推移していると述べた。
今後6カ月間の消費者のサービスに対する支出計画に関する特別質問では、消費者は遊園地や外食といった裁量的支出を減らすと回答した。一方で、医療、住宅や自動車のメンテナンスや修理といった自由裁量の少ない分野や、配信サービスなどの娯楽により多くの費用を投じるとしている。
(注)この調査は、米国シリコンバレー銀行の破綻から10日後の3月20日に締め切られている。
(樫葉さくら)
(米国)
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