バーデン・ビュルテンベルク州首相、量子技術手がける州内企業を視察

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年04月14日

ドイツ南西部のバーデン・ビュルテンベルク州で、ビンフリート・クレッチマン同州首相は4月3日、工作機械・レーザ技術トルンプの量子技術子会社を視察外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ミハエル・ケルナー連邦経済・気候保護省政務次官も同行した。

訪問したのは、トルンプの100%子会社クアント(Q.ANT)。量子センサー、量子コンピュータ用集積回路の研究開発、製造を手がける。

クレッチマン州首相は「バーデン・ビュルテンベルク州は量子技術の付加価値創造でも最先端でありたい。わが州の企業は量子技術のグローバルマーケットでも重要な役割を果たすべきだ」とコメントした。同州では2021年6月、国内初の量子コンピュータが稼働している()。

クアントは2018年の設立以降、量子技術の研究開発を進めてきた。2022年からはパーダーボルン大学や、フラウンホーファー応用光学・精密機械工学研究所(IOF)など13社・研究機関と共同プロジェクトを進めている。量子コンピュータ用集積回路と関連部品の試験設備の構築を目指す。同プロジェクトは5年間で、連邦教育・研究省から約4,200万ユーロの助成を得ている。また、クアントは2020年11月、同州に本社があるセンサー技術のシック(SICK)と、センサー向け量子技術の産業向け活用を目指す提携を発表している。

トルンプは、同州に本社を有する工作機械・レーザ加工機のメーカー。2018年にクワントを設立、2021年9月には、クアントに数千万ユーロを追加投資した。トルンプは2023年1月、ドイツ大手企業が量子コンピュータの自動車、化学・医薬品分野などでの活用を探るために2021年6月に設立した「量子技術活用コンソーシアム〔キューテック(QUTAC)〕」にも参加外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

トルンプは2023年で創業100周年を迎える。日本にも複数の拠点を有し、同社のマティアス・カミュラー・チーフデジタルオフィサー(CDO)が在シュトゥットガルト名誉領事を務めるなど、日本との関係も深い。

(高塚一)

(ドイツ)

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