第1四半期の米自動車販売、供給回復で前年同期比7.8%増
(米国)
ニューヨーク発
2023年04月13日
モーターインテリジェンスの発表(4月3日)によると、米国の2023年第1四半期(1~3月)の新車販売台数は前年同期比7.8%増の359万6,352台となった(添付資料表1参照)。2021年に顕著だった半導体チップ不足の影響などによる車両の供給不足が一定程度改善し、消費者の選択肢が広がったことが販売を後押ししたとみられる。新車在庫に関しては、複数の調査機関が前年同期比で 6~7割程度増加したと発表している。
一方、2019年同期比では10.1%減となり、新型コロナ禍前の販売規模には回復していない。今後の見通しに関しては、政策金利の引き上げに伴う自動車ローン金利の上昇と、景気後退による需要の頭打ちを懸念する声も聞かれる。自動車調査会社エドモンズのエグゼクティブディレクターのジェシカ・コールドウェル氏は「金利の急速な上昇により、貸し付けに最も適格な人にも購入障壁が生じ、消費者は信用不安に直面している」と述べた(ロイター4月3日)。
販売台数を部門別にみると、乗用車が前年同期比 7.2%増の74万9,419台、小型トラックが7.9%増の284万6,933台と、いずれも伸びた。また、テスラやランドローバーなどを含むプレミアムクラスも2桁増と好調だった。高価格帯車両の伸びに加え、メーカーが提供する割引額が前年同期比で8.9%低下し、1台当たり平均1,486ドルに抑えられたこともあって、平均車両販売価格(暫定)はデータを確認できる2013年第1四半期以降で最高額となる4万5,452ドルに達した(トゥルーカー・ドットコム3月29日)。
主要メーカー別にみると、ゼネラルモーターズ(GM)は17.7%増の59万9,187台と大幅に増加した(添付資料表2参照)。GM のエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼北米社長のスティーブ・カーライル氏は「第1四半期は大幅に市場シェアを獲得し、価格も堅調、かつ在庫は非常に良好で、初めて四半期で2万台超の電気自動車(EV)を販売できた」(CNBC 4月3日)と述べ、好調ぶりをアピールした。中でもスポーツ用多目的車(SUV)「トレイルブレイザー」やバッテリー式電気自動車(BEV)「ボルト」などが大きく伸びた。フォードはピックアップトラック「Fシリーズ」などが好調で、9.9%増の47万1,861台だった。一方、トヨタは人気モデルのSUV「RUV4」などが落ち込み、8.8%減の46万9,558台、ステランティスもピックアップトラック「ラム」などが減少し、9.1%減の37万130台にとどまった。また、ホンダは6.8%増の28万4,507台、日産は17.3%増の23万5,818台で、いずれも7四半期ぶりの増加となった。そのほか、現代は15.6%増の19万8,218台、起亜は21.8%増の18万4,136台、テスラは24.6%増の16万1,630台で、いずれも大幅増となった。スバルは8.3%増の14万3,376台、フォルクスワーゲン(VW)は20.2%増の12万2,231台と好調だった。
新車販売台数のうち、BEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)を合わせた「クリーンビークル」(注)は前年同期比45.4%増と大幅に増加した。また、クリーンビークルがガソリン車を含む全車両に占める割合は8.6%となり、2022年第1四半期の6.3%から大きく伸びた。中でも、クリーンビークルの8割以上を占めるBEVは、前年から48.0%増加した(添付資料表3参照)。BEVのメーカー別シェアでは、依然としてテスラが6割以上と大半を占めるが、前年同期と比べでは11.8ポイント減少し、一方で、GMが7.7ポイント、VW、BMWが1.5ポイント増加している。
(注)米国政府がインフレ削減法に基づく税額控除の対象車両として採用した呼称。
(大原典子)
(米国)
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