政府がグリーンファイナンス戦略を更新、ネットゼロと金融の連動、投資促進を意識
(英国)
ロンドン発
2023年04月10日
英国政府は3月30日、「2023年グリーンファイナンス戦略」を発表。英国をネットゼロ目標に沿った金融センターとする枠組みを打ち出しているほか、新技術の商用化に向けた支援や、新興市場や開発途上国などを含めたグリーンファイナンスの国際的な加速に向けた取り組みを示したもの。英国政府は2019年にもグリーンファイナンス戦略を発表しており、今回の戦略はそれを更新したものとしている(特集:ブラック ジャック ディーラーが歩む循環型経済への道ブラック)。
同戦略は「英国の金融サービスの成長と競争力強化」「グリーン経済への投資」「金融の安定性」「自然と気候適応の組み込み」「国際的な金融フローと気候・自然目標の連携」の5つを目的として、「グリーンファイナンスに対する英国のアプローチ」「英国の気候変動・環境目標と市場の連動」「グリーン投資の動員と機会創出」の3章からなる。
主な取り組みとして、国内の大企業に対するネットゼロへの移行計画の開示義務化(関連オンライン ブラック ジャック)の枠組みの最終化に向け、2023年の秋・冬に意見公募を行うとしたほか、国際サステナビリティー基準審議会(ISSB)の活動支援を継続するとした。また、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出(スコープ3)の報告に関する意見公募の実施、環境報告ガイドラインの更新なども取り組みとして挙げた。さらに、英国版タクソノミー規制(注)に関する意見公募を2023年秋に実施するほか、同戦略発表に合わせて、ESG(環境・社会・カバナンス)評価機関に関する規制についての意見公募も開始するとした。
投資の動員に関しては、発表済みの二酸化炭素(CO2)回収・有効利用・貯留(CCUS)、低炭素水素技術などへの資金拠出に加え、2023年中に一連のネットゼロ投資ロードマップを発表するとした。そのほか、さまざまな段階のグリーン技術への民間投資を誘導するため、地方自治体の能力開発や政府系金融機関との連携強化を行うとした。さらに、ネットゼロに向けた信頼性の高い、民間事業者によるボランタリーの炭素市場(carbon market)、自然市場(nature market)の成長支援に必要な取り組みについて意見公募を実施する。特に自然の回復に資する自然市場については、同戦略と併せてフレームワークを発表した。
また、新興国、開発途上国に対しては、英国が有するノウハウを生かして支援を行うとしており、英国が2025/2026年までに拠出する予定の116億ポンド(約1兆9,024億円、1ポンド=約164円)の使途などをまとめた「国際気候ファイナンス戦略」も発表した。
(注)EUタクソノミー規制については、ジェトロ調査レポート(2022年6月)を参照。
(山田恭之)
(英国)
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