2023年の米GDP成長率、第1四半期は前期比1.1%、大幅鈍化も個人消費は堅調さ保つ
(米国)
ニューヨーク発
2023年04月28日
米国商務省が4月27日に発表した2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率1.1%となり、市場予想の2.0%を下回った。前期(2022年第4四半期)の2.6%から大幅鈍化となったが、消費を中心に堅調さもうかがえる内容だった。
需要項目別にみると、内需では、個人消費が前期比3.7%増と、前期の1.0%増から伸びが加速し、寄与度2.5ポイントと最大の押し上げ要因になった。個人消費のうち、財消費は6.5%増、特に耐久財が16.9%増と大幅に増え、サービス消費も2.3%増と堅調さを保った。一方、設備投資については0.7%増と前期の4.0%増から大きく減速、特に機器類への投資が7.3%減と前期の3.5%減からさらに縮小した。住宅投資は4.2%減と8四半期連続のマイナスも、前期の25.1%減からは減速幅が大きく縮まった。個別項目で最も成長を押し下げたのは在庫投資で、寄与度マイナス2.3ポイントと、前期のプラス1.5%ポイントから大きな反動減になり、個人消費の増加分をほぼ打ち消した。個別では、卸売業(特に機械、設備、備品)と製造業(特にその他の輸送機器、石油および石炭製品)で在庫減少が目立った。外需では、輸出が4.8%増、輸入は2.9%増とともにプラスとなり、純輸出の寄与度は0.1ポイントのプラス寄与だった。また、食品・エネルギーを除く個人消費支出デフレーターは前期比4.9%上昇で、前期の4.4%上昇から加速した(添付資料表参照)。
前期から大きく減速した第1四半期のGDP成長率だが、個人消費は堅調さを保ち、連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めの影響から大きく落ち込んでいた住宅投資は減速幅が鈍化し始めるなど、明るい材料も目立ち、見た目ほど悪い内容ではなかった。ただし、先行きについては不透明さが残る。企業部門である設備投資が大きく減速していることに加え、設備投資の先行指標でもある在庫投資が前期から大きく減速しており、前期の大幅増は企業にとっては意図しない在庫の積み上がりだった公算が大きい。ニューヨーク連邦準備銀行が長短金利などから算出する約1年先の景気後退確率は約58%と、2022年から徐々に高まってきており、景気に悲観的な見方が大勢となる中では、企業は投資に今後も後ろ向きになる可能性がある。シリコンバレー銀行の破綻などによる金融セクターの信用不安も加わり(関連ブラック ジャック やり方)、景気後退への懸念がますます高まる中で、堅調な個人消費が勢いを失う前に、高インフレを抑制し、金融環境を正常化の方向に向かわせることができるのか、5月2~3日に予定される次回の連邦公開市場委員会(FOMC)における政策金利引き上げ幅の判断が注目される。
(宮野慶太)
(米国)
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