2022年の電子決済のシェアは62%まで増加

(サウジアラビア)

リヤド発

2023年04月17日

サウジアラビア中央銀行(SAMA)は4月11日、2022年の小売業における電子決済の割合が、現金を含む決済全体の62%に達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。「ビジョン2030」の主要プログラムの1つである「金融セクター開発プログラム(Financial Sector Development Program)」(注1)において定めた、2022年の目標60%を上回る水準となった。

また、サウジアラビア決済ネットワーク「mada」(注2)を通じて実行されたPoSシステムの取引件数は、2021年から40%増加し、2022年は72億件に達した。madaカードによるオンライン取引も76%増加し、取引数6億1,000万件を記録している。

サウジアラビアでは、決済インフラの大幅な改善や既存システムの強化、新システム・サービスの導入が過去数年にわたって行われていた。これらに加え、規制や技術、運用面での改善により、人々の電子決済への移行が進んでいる。SAMAは2025年までに、電子決済の割合を70%まで引き上げ、政府と民間企業の間のシナジーを創出することを目指している。また、電子決済に向けたデジタルトランスフォーメーションの加速と、決済インフラの支援・導入促進に引き続き取り組む方針だ。

2022年8月にSAMAが発行した「NATIONAL PAYMENTS USAGE STUDYPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」によると、2021年のサウジアラビアの電子決済の比率は、スウェーデン(非現金比率:91%)や米国(72%)の水準には至らないものの、日本(30%、注3)や世界平均(56%)を上回っている。ITリテラシーが高いとされる若年層が多くを占める人口構造に加え、インターネットでの個人消費が盛んな小売市場が追い風となって、引き続き電子決済が増えていくことが予想される。

(注1)「ビジョン2030」のプログラムの1つ。サウジアラビアの経済発展を支え、収入源を多様化し、貯蓄や投資を活性化するために、多様で効果的な金融セクターを開発することを目的としたプログラム。

(注2)SAMA配下にある「サウジ・ペイメンツ(Saudi Payments)」が開発・管理する決済ネットワーク。2015年にサービスを開始し、国内でのデビットカードとプリペイドカード決済は全て「mada」で一元管理されている。

(注3)経済産業省発表の2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%(111兆円)。

(位田陸)

(サウジアラビア)

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