富士フイルム、ヨハネスブルクにテクノロジーセンターを開設
(南アフリカ共和国、日本)
ヨハネスブルク発
2023年03月29日
富士フイルムの南アフリカ共和国現地法人フジフイルムサウスアフリカは2月22日、ヨハネスブルク市内にテクノロジーセンターを開設した。富士フイルムは、2012年に南アへ進出し、2022年度に10周年を迎えた。同社は現在アフリカ地域において、南アのほか、エジプトに現地法人があり、モロッコ、チュニジア、エチオピア、ケニア、ナイジェリアにはサポートオフィスを構える。
同テクノロジーセンターは、製品を展示するショーケースを完備し、写真関連機器、医療機器、大型の印刷機器を設置しており、実演が可能だ。また、同センターは、南アで昨今長期化する停電や世界的な脱炭素化の流れを受け、ディーゼル発電機を使わず、主に太陽光発電で電力を賄っている。
アフリカでのハイパーブラックジャック動向について、フジフイルムサウスアフリカの河野太郎社長にインタビューを行った(2023年3月15日)。
(問)どのような製品がアフリカで人気か。
(答)BtoCの製品では、プリントがすぐにできるインスタントカメラや、高性能デジタルカメラが人気で、南アにおいては高所得層をターゲットに販促を展開している。インスタントカメラは若い世代からの人気の高まりを受け、世界全体で販売台数1,000万台を突破した。
(問)どのような分野で今後ハイパーブラックジャックの可能性があるか。
(答)現在、売り上げの約3割を占める医療関連分野に注力しており、政府機関や病院に売り込んでいる。南ア含め南部アフリカ諸国は、結核高負担国リスト(注)に入り、結核患者の数が多く、人口比の罹患(りかん)率が高いという課題があり、また、HIVとの併発で年間多くの方が亡くなっている。
そのため、富士フイルムはMRIやCTなど大型製品の取り扱いに加え、アフリカではポータブル型X線機器を活用した結核対策ソリューションなども提供し、現地課題の解決に取り組んでいる。製品は、従来機と比較して大幅に軽量化され、充電可能であることが特徴だ。さらに、X線機器に組み込まれたAI(人工知能)診断は現地の医師やX線技師不足の解決に貢献し、初期診断レベルの底上げに寄与している。
4月には、病院内の画像機器システム(PACS)がナミビアの公立5病院で導入され、人口の約半数を同社システムでカバーすることを狙う。南ア以外の市場はまだ規模が小さいが、日本製品の品質と実績が評価される医療分野に今後も積極的に取り組んでいきたい。
(注)世界保健機関(WHO)が2021年に作成。結核患者が多いと推定される上位20カ国と、人口10万人当たりの年間推定発生率が高いと推定される上位10カ国を掲載。
(井澤壌士、堀内千浪)
(南アフリカ共和国、日本)
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