米NY州のホークル知事、鉄道業界や連邦政府に安全管理追加措置を要請、脱線による有毒物質流出事故を受け
(米国)
ニューヨーク発
2023年03月01日
米国ニューヨーク(NY)州のキャシー・ホークル知事(民主党)は2月23日、オハイオ州イースト・パレスチナで2月3日に貨物列車の脱線により有毒な化学物質が流出した事故を受け、貨物鉄道業界、連邦議会、連邦規制当局に対し、貨物鉄道の危険物災害を防止するための追加措置を講じるよう要請した。
要請内容は以下のとおりとなっている。(1)連邦議会が定めた2029年の導入期限に先立ち、より安全な危険物用タンク車の段階的導入を加速させる。(2)ブレーキ規制を現代化し、電子制御空気(ECP)ブレーキの導入を増やし、潜在的な脱線事故を防止する。(3)鉄道会社に対し、危険物がNY州を通過する場合は、事前に州の緊急対応チームに通知することを義務づける。(4)危険物への準備と対応計画に特化した州および地方の補助金を拡大する。
なお、これに先立って、米国運輸省のピート・ブティジェッジ長官は2月21日、貨物鉄道業界に対して安全性の向上に向けた早急かつ良識ある措置を取るよう要請した。ブティジェッジ長官はまた、米国議会に対して危険貨物輸送管理規則を拡大・強化するために超党派で協力すべきと提言し、同省は貨物鉄道の安全性向上に関する活動を継続・強化するとしている。
また、ペンシルベニア(PA)州のジョッシュ・シャピロ知事(民主党)は 2月21日、事故が発生したオハイオ州に隣接する同州ビーバー郡ダ―リントン・タウンシップを訪れ、州の環境保護局(DEP)の南西地域事務所から水質検査を受けた住民と面会するなどし、知事としての優先事項は事故の影響を受けた州民の健康と安全を確保することだとした。
脱線事故によって流出した有毒な化学物質には、塩化ビニル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、プロピレングリコール、石油、ベンゾールなどが含まれていた(「ワシントン・ポスト」電子版2月18日)。
(吉田奈津絵)
(米国)
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