米環境保護庁、飲料水中のPFASについての国家統一基準案を発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年03月15日

米国環境保護庁(EPA)は3月14日、飲料水に含まれる有機フッ素化合物のパーフルオロアルキルとポリフルオロアルキル化合物(PFAS)について、史上初となる国家統一基準案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EPAは2021年10月にPFAS汚染に対処するための戦略ロードマップを発表しており(2021年10月21日記事参照)、今回の基準案はこれに基づく措置となる。

基準案では、PFASのうち特に毒性が強いとされるペルフルオロオクタン酸(PFOA)とペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)を個別の汚染物質として規制し、4つのPFAS(PFNA、PFHxS、PFBS、GenX化学物質)を混合物質として規制するとしている。具体的には、PFOAとPFOSについては1兆分の4という濃度レベルで規制する。4つのPFASについては、1つ以上を含む場合、基準案で定義しているハザード指数計算(注)と呼ばれる手法を用いて、潜在的にリスクをもたらすか否かを判断する。基準案がこのまま決定された場合、公共飲料水に対する化学物質のモニタリングが義務づけられることになり、PFASの濃度が規制基準案を超えた場合、一般市民にそれを通知し、PFAS汚染を低減する措置が義務づけられる予定だ。EPAは基準案により、PFASによる数千人の死亡と数万人の重篤な疾病を減らせると想定している。基準案は2023年末までに最終決定される予定となっている。

PFASなどの汚染対策については、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(関連ブラック ジャック 勝ち)で100億ドルが措置されており、2月には、飲料水の有機フッ素化合物PFAS削減対応に全国の自治体が利用可能な20億ドルの資金拠出が発表されている。基準案の発表と同日に公開されたバイデン政権の過去2年間におけるPFASへの取り組みに関する報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、食品医薬品局(FDA)が1兆分の1の低濃度のPFASを検出する方法を開発したことが記されるなど、PFAS汚染対応の着実な進展が強調されており、バイデン政権はPFAS削減に向けた取り組みに引き続き注力していく見込みだ。

(注)臓器に悪影響を及ぼす各化学物質の危険度を数値化したものの総和を表し、基準案ではこれが1以下であることを要求している。

(宮野慶太)

(米国)

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