2022年の乗用車新車登録台数は前年比8.5%減、3年連続で減少
(ハンガリー)
ブダペスト発
2023年03月13日
ハンガリーの民間調査会社データハウスによると、ハンガリーの乗用車の新車登録台数は、2020年と2021年(2023年1月24日付地域・分析レポート)に続き2022年も減少した。新車登録台数は11万1,524台で、2021年(12万1,920台)から8.5%減少し、5年前の2017年の11万6,265台の水準も下回った。中古車登録台数は、2021年は前年比1.4%増と微増だったが、2022年は4.6%減の12万6,094台と減少に転じた(添付資料図参照)。
ハンガリー自動車輸入協会(MGE)は、特に2022年の上半期の自動車販売は、ロシアによるウクライナ侵攻や2021年から続く半導体不足によるサプライチェーンの混乱に加え、現地通貨フォリントの対ユーロレートの変動やエネルギー価格の大幅な上昇も影響を及ぼしたと分析する。
新車登録台数をメーカー別にみると、スズキが1万3,859台で7年連続の首位を堅持した(添付資料表参照)。スズキブランドでは、ハンガリー北部のエステルゴム工場で生産する「SX4 S-CROSS」(7,187台)と「ビターラ」(5,509台)が人気だった。スズキはEU市場でハイブリッド車のみを販売しており、輸入車と合わせて同社のハイブリッド全モデルをハンガリーの顧客に提供している。2位も同じく日本のトヨタで、登録台数は1万3,262台だった。ハイブリッド車やスポーツ用多目的車(SUV)を含む「ヤリス」が3,885台と最多、「カローラ」も3,525台と続いた。3位のフォルクスワーゲン(VW)は1万311台(46.2%増)。VWの大幅な伸びは、高級車と販売競争ができる新型車「T-Roc」の人気が高かったことが大きな要因だった。
例年、国内乗用車市場の牽引役だった電気自動車(EV)は、前年を大きく下回る増加率になった。「ベゼシュ」ニュース(1月16日)は、2022年はEV購入に対する国の補助金がなくなったこと、さらにバッテリー価格や充電費用の上昇もEVの購入意欲をそぐ要因となったとの在ハンガリー起亜担当者のコメントや、EVの価格が前年比20%上昇したとのポルシェ担当者のコメントを報じた。2022年のバッテリー式電気自動車(BEV)の新車登録台数は4,709台(前年比9.2%増)、プラグインハイブリッド車(PHEV)は4,876台(15.1%増)だった。BEVとPHEVの合計は9,585台で、全新車登録台数の8.6%を占めた。欧州自動車工業会(ACEA)によると、EU26カ国(マルタを除く)では同割合が21.5%であるため、EU域内でみるとハンガリーでのBEVとPHEVのシェアは低い水準にとどまっている。
BEVの新車登録台数をメーカー・ブランド別でみると、テスラが前年の184台から597台へと大きく伸ばし、最多だった。ここ2年間、最も売れたBEVだった起亜「ニロ」は524台と2位に後退。前年から137台減となった。
MGEは2023年1月、2023年の国内乗用車市場は前年比約10%減と縮小するとの見通しを発表。新車登録台数は10万台超で、うち8,500台がEVとの予測だ。MGEは、燃料・エネルギー価格の上昇が続いていることから、EV需要の大幅拡大を予想している。
(バラジ・ラウラ)
(ハンガリー)
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