インフレ対策で政策金利引き上げ、日系企業は賃上げ準備
(エジプト)
カイロ発
2023年03月31日
エジプトの中央銀行(CBE)は3月30日に金融政策委員会を開催し、政策金利を2ポイント引き上げ18.75%とした。政策金利の引き上げは2022年12月以来3カ月ぶり(2022年12月26日記事参照)。CBEは金利引き上げ理由の1つとして、進行するインフレへの対策を挙げた。2023年2月の物価上昇率は、前年同月比31.9%となっている。
物価上昇がエジプト国民の生活を圧迫する中、政府は各種の緩和措置を講じている。エジプトでは3月23日からラマダン(断食月)となっているが、ラマダン前は食料品の購買量が増え、インフレが発生しやすくなる。政府は割引価格でラマダン向けの必需品を購入できる市場を設置している。3月29日の定例閣議で承認された2023年度(2023年7月~2024年6月)予算案には、小麦などの食品やガソリンなどの燃料を格安で国民に提供するための補助金をそれぞれ前年比20%、24%増額することが盛り込まれた。
3月28日には、ムハンマド・マイート財務相が、3月初めにアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領により発表された公務員などに対する給与引き上げが4月13日から適用されるとした。公務員の最低賃金は3,000エジプト・ポンドから3,500エジプト・ポンド(約1万5,050円、1ポンド=約4.3円)となる。
インフレにより、各企業も対策を講じている。ジェトロが3月にエジプト進出日系企業に対して行った賃金調査によると、多くの企業が次回給与改定(多くは4月または7月に実施される)の際、基本給を20%前後引き上げるという。また、暫定措置として、インフレ手当やラマダン(断食月)手当を支給する企業も散見された。
(福山豊和)
(エジプト)
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