デリー首都圏の大気汚染が改善、各種活動規制はいったん全て解除
(インド)
ニューデリー発
2023年03月15日
インド大気汚染局(CAQM)は3月9日、デリー首都圏の空気質指数(AQI)が十分改善したとして、同地域における活動規制の適用を取り下げた。CAQMは2022年10月5日以降、大気汚染を理由に段階別行動計画(GRAP)に基づく各種規制を課してきたが、5カ月強ぶりに全て解除した。
CAQMは2022年10月、デリー首都圏の大気汚染対策の一環で、AQIに応じたGRAPを導入。GRAPの適用判断の基準となるのはデリーのAQIだが、活動規制の適用範囲はデリー首都圏に及ぶ。段階別規制はステージ1(AQI201~300)、ステージ2(同301~400)、ステージ3(同401~450)、ステージ4(同451以上)に分かれており、CAQMが実際のAQIや今後の見通しを基に適用ステージを決定する仕組みだ(2023年2月13日付地域・分析レポート記事参照)。
CAQMによる各種規制のうち、産業界への影響が特に大きいのは、ディーゼル発電機の使用制限だ。デリー首都圏では、公共電気が必ずしも安定的に供給されているわけではなく、同地域に位置する工場ではバックアップ電源としてディーゼル発電機を置くことが一般的だ。しかし、GRAPのステージ2以上の場合には、公共電気の供給有無にかかわらず、ディーゼル発電機の使用制限が課されることとなった。さらに2023年5月16日以降は、AQIがたとえ悪化していなくとも、ガス供給のある地域ではディーゼル発電機の使用制限を強化するといった通達も新たに出され(2023年2月16日記事参照)、各製造業企業はディーゼル発電機のガス併用タイプへの改造やガス発電機への切り替えなどの対応に追われている。
なお、デリー首都圏のAQIがしばしば200を超えて悪化するのは、例年10月後半~2月ごろだ(添付資料図参照)。このため、GRAPに基づく各種規制が再び適用開始となるのも、2023年10月ごろとなる可能性が高いとみられる。
(広木拓)
(インド)
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