衣料、電子機器の循環型経済構築に取り組むフィンランド企業
(フィンランド)
ロンドン発
2023年03月01日
フィンランドでは、電子機器や衣料分野で、企業による循環型経済構築に向けた取り組みが進められている。
同国の大手通信会社DNAは1月25日、新たな中古スマートフォンのオンラインストア「バイヒトカプラ(Vaihtokapula)」をオープンしたと発表。
同社はこれまでも不要になった携帯電話機の下取りサービスを行っていたが、今回、中古スマートフォンの販売に乗り出す。中古の携帯電話を簡単かつ安全に購入できるようにすることで、循環型経済を促進するとしている。また、これまでフィンランドで中古スマートフォンを扱う店は米国アップル製のiPhoneに限られていたが、DNAはアンドロイド製品も取り扱いに含めることにより、多くの顧客を獲得することができると続けた。
電子廃棄物は近年増加が著しい廃棄物の1つだ。携帯電話には貴重な貴金属が多く含まれており、その採掘に伴う二酸化炭素排出量も大きい。同社は、中古スマートフォンを販売することによる循環型経済の構築は、気候変動対策の目標に近づく重要な手段の1つだとした。
衣料分野でも、循環型経済に向けた取り組みは進んでいる。繊維製品の廃棄物やボール紙などをリサイクルし、繊維を生産する同国の企業インフィニテッド・ファイバーは、2022年6月に4億ユーロを投じ、商業生産に向けた工場を建設することを発表。2月には生産拡大に向け、新たに2工場の用地の検討を開始すると発表している。
中古衣類などの収集・販売 を行うNPOのUFFは、2022年の衣類の寄付について、約1,230万キログラムと発表。これは国民1人当たり2.3キロの寄付に相当する。UFFによる売り上げはアンゴラやインド、モザンビークなどでの気候変動対応や国際開発に資する活動資金として活用される。
しかし、2021年に比べて、衣類回収率は8.3%減少している。UFFは、新型コロナウイルス感染拡大期の在宅勤務を要因として指摘。新たな衣服の購入量が減ったことで、古着の回収量も減少していると分析した。
なお、2025年1月以降、EU加盟国は繊維製品の廃棄物の分別回収を実施しなければならないとされている。フィンランドでは2021年に自治体に対し、繊維製品を分別回収することを義務付ける法律を可決しており、2023年1月から施行されている。
(山本ゆうか、半井麻美、山田恭之)
(フィンランド)
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