米サウスカロライナ州、VW傘下のスカウト・モーターズのEV工場設立を発表
(米国、ドイツ)
アトランタ発
2023年03月14日
米国サウスカロライナ州政府は3月3日、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)傘下の米国スカウト・モーターズが同社初の電気自動車(EV)の製造工場を同州コロンビア近郊に新設すると発表した。投資額は20億ドルで、最大4,000人の雇用創出を計画する。同社は新工場で、1960~1980年代に生産されていた米国車ブランド「スカウト」をほうふつとさせるデザインの次世代小型トラック(ピックアップトラック)と、スポーツ用多目的車(SUV)を生産する予定としている。同社は2026年末までに生産開始を予定し、フル稼働時には年間20万台以上を生産するとしている。
サウスカロライナ州政府は、スカウト・モーターズに提供する可能性のある投資優遇措置について、現時点では詳細を明らかにはしていない。しかし、同州のヘンリー・マクマスター知事(共和党)は2022年10月に署名した行政命令を通じて、EV関連産業を同州に誘致するために、州の労働力を訓練して高度な製造業での業務に備えることや、EVインフラの戦略的配置、同州への投資に関心を持つ企業のために州商務省に「ワンストップショップ」を設置することなどを打ち出している。
また、スカウト・モーターズの最高経営責任者(CEO)スコット・キョウ氏は「米国での製造は常に優先事項だったが、2022年に米政府が施行したインフレ削減法(IRA)は、工場建設のアイデアに踏み切るための文字どおり特別なインセンティブを与えてくれた」と発言している。IRAでは、米国などで生産されたEVを購入すると、1台当たり最大7,500ドルの税額控除を受けられる予算が盛り込まれている(2022年8月18日記事参照)。
なお、VW子会社で同グループ商用車部門のトレイトンは、2021年に米国のナビスター・インターナショナルと合併して「スカウト」ブランドを獲得した。ナビスター・インターナショナルは1960~1980年代に「スカウト」を生産していたトラクターメーカーのインターナショナル・ハーベスターの承継会社。
(吉田祥子)
(米国、ドイツ)
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