ビングループ、配車アプリとタクシーにEVを投入

(ベトナム)

アジア大洋州課

2023年03月30日

ベトナムの複合企業ビングループは3月21日、グループ傘下のGSM(グリーン・スマート・モビリティー)がスマートフォンアプリを用いた配車サービスを運営するBeグループとの間で、電気自動車(EV)による輸送サービス導入に向けた投資協力に合意したと発表した。

GSMは、ビングループ会長のファム・ニャット・ブオン氏が95%を出資する会社で、EVのリース事業とタクシー事業を手掛ける。同社は、これらの事業にビングループ傘下のビンファストが製造するEV1万台と電動バイク10万台を投入していくという。

今回の合意では、まずBeグループの登録ドライバーに対して、EVと電動バイクへの乗り換えを支援する。GSMは地場大手銀行のVPバンクと連携して、ドライバーが低コストでビンファストのEVと電動バイクを購入またはリースできる仕組みを提供する。

また、Beグループが運営している配車アプリ上で、利用者がGSMのEVタクシーサービスを選択できるようにする。

今回の合意を通じて、GSMとBeグループは輸送サービス分野でグリーントランスフォーメーション(GX)を促進し、市民生活の中にEVを浸透させていきたい意向だ。

ビンファストEVのリース価格を発表

GSMは3月15日、事業者向けにビンファストのEV3モデルのリース価格を公開した(添付資料表参照)。例えば、低価格帯のBセグメントSUV(スポーツ用多目的車)「VF5」のリース料金は月額950万ドン(約5万3,200円、1ドン=約0.0056円)で、バッテリーレンタル料金が月額270万ドン。1カ月の最大走行距離2,500キロメートルを超えると、1キロ当たり1,082ドンが加算される。なお、「VF5」の車体販売価格はバッテリー込みで5億3,800万ドン。バッテリー別の場合は4億5,800万ドンで、バッテリーは月額160万ドンで使用できる。

ビンファストは、2021年12月の納車開始から直近の2023年2月まで8,000台近くのEVを販売・納車している。個人向けのEV販売が伸び悩む中、ビングループはタクシー事業とリース事業、配車アプリサービスとの連携を通じて、ビンファストのEVの普及率を高めようとする狙いが見られる。

(庄浩充)

(ベトナム)

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