中東最大級の起業支援イベント「RiseUp Summit」開催

エジプトのギザ県の大エジプト博物館で3月16～18日に、中東・北アフリカ（MENA）地域最大級の起業支援イベント「RiseUp Summit」が開催された。10周年を迎える同イベントでは、100近くの起業関連セッションが開催されたほか、スタートアップの展示ブースが設けられ、商談やネットワーキングが行われた。主催者によれば、150社以上のスタートアップ、250以上のスピーカーが参加した。

初日には、エジプトのアムル・タラート通信・ブラック ジャック ストラテジー技術相、ラニア・マシャート国際協力相、ホッサム・ヘイバ投資フリーゾーン庁（GAFI）長官ら閣僚級が相次ぎ登壇し、政府のスタートアップ支援策について説明した。

会場内では、MENAやアフリカといった地域ワイドでの議論が数多く開催された。「相乗効果（The Multiplier Effect）」と題されたパネルディスカッションでは、中東発のスーパーアプリ（注）Careemが、エジプトやMENA地域のスタートアップに大きな影響を与えたことなどについて議論がなされた。4人の登壇者もCareemで勤務経験を持ち、現在はExits（エジプト）、Sary（サウジアラビア）、MaxAB（エジプト）、Talabat（クウェート）といった、MENA地域で広く知られるスタートアップで活躍しており、起業家に向けて自身の経験を語りかけた。別のセッションでは、米国ベンチャーキャピタル（VC）の500 Globalのパートナーであるアマル・エナン氏が、MENAやアフリカ地域のエコシステムについて、リスクはあるものの成熟し始めており、潜在的な成長可能性があると評した。

分野に特化したセッションも多数開催された。マスターカードと、同社も投資しているフィンテックに特化したVCのNclude（関連ブラック ジャック ブラック）のセッションでは、フィンテック企業がローカル市場に適合したサービスを提供することの重要性が語られた。また、「10億ビューへの道（The Road to a Billion Views）」と題されたセッションでは、YouTubeやNetflixなど動画配信サービスを通して5億ビュー数を獲得したエジプトのコンテンツ制作スタートアップPeace CakeのCEO（最高経営責任者）が登壇し、クリエーティブな人材の確保・育成の重要性を強調した。

（注）1つのアプリ内に、決済、ショッピング、配車など複数の機能を備えたアプリのこと。

（塩川裕子）