日越共同イニシアチブの第8フェーズが終了、8割の項目で進捗

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2023年03月22日

ベトナムの投資環境改善を目指す「日越共同イニシアチブ」(注1)第8フェーズが終了し、37日にハノイ市内で最終評価会合が開催された。今回の第8フェーズは、202110月から両国の官民一体で課題解決に向けた協議を行ってきた(20211027日記事参照)。合計11の分野でワーキングチーム(WT)を立ち上げ、81項目の改善に取り組んだ。

会合では、ベトナム日本商工会議所の日越共同イニシアチブ担当委員長の藤川英大氏と木ノ下忠宏氏が各WTの取り組み結果を報告し、81項目の行動計画のうち、約8割に当たる64項目の進捗を確認した。9項目は期待された進捗に至らず、残り8項目は環境変化に伴って評価対象外となった(在ベトナム日本大使館ウェブサイト参照PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。特に、労働環境分野では労働許可証発給条件に対する当局の柔軟な対応、イノベーション分野では日本企業とベトナムスタートアップの協業が実現するなど、具体的な成果について言及された。他方、投資法・企業法分野では、投資・企業登録に際して法令で求められていない資料を要求される事例について、解決に向けた協議を継続するなど課題が残った。

ベトナム側共同議長(注2)のグエン・チー・ズン計画投資相は、今後の討議ではデジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)による循環型経済社会への移行、人材育成の3つに焦点を当てたいとし、「日越双方の中小企業間で連携の余地がある。ベトナムの人材、日本の経験と技術を組み合わせれば1つの力になる」と考えを述べた。

日本側共同議長の山田滝雄駐ベトナム大使は、新型コロナウイルス禍で活動が大変な時期もあったが、全てのWTで成果が出たと総括。その上で「日越経済関係を一層対等な互恵関係に発展させる上で、このイニシアチブも今後の両国関係に見合った枠組みを模索する必要がある」と述べた。

写真 今後の取り組み方針を語るズン計画ブラック ジャック アプリ相(日越外交関係樹立50周年日本側実行委員会提供)

今後の取り組み方針を語るズン計画投資相(日越外交関係樹立50周年日本側実行委員会提供)

写真 最終評価に関する覚書締結の様子(日越外交関係樹立50周年ブラック ジャック アプリ側実行委員会提供)

最終評価に関する覚書締結の様子(日越外交関係樹立50周年日本側実行委員会提供)

(注1)日越共同イニシアチブは、ベトナムの投資環境を改善し、外国からの投資を拡大することを通じて、ベトナムの産業競争力を高めることを目的として官民連携で実施される。20034月に日越両国首脳の合意に基づいて始まり、2023年で開始から20年を迎える。

(注2)共同議長は、経団連の日本ベトナム経済委員会委員長(3人)の市川秀夫氏、藤本昌義氏、兵頭誠之氏、山田滝雄駐ベトナム大使、グエン・チー・ズン計画投資相の5人。

(萩原遼太朗)

(ベトナム、日本)

ビジネス短信 511126c0ff0fcb70