マネーロンダリング違反企業29社に対し高額罰金
(アラブ首長国連邦)
ドバイ発
2023年03月29日
アラブ首長国連邦(UAE)経済省は3月24日、アンチマネーロンダリングおよびテロ資金対策法(AML/CFT法)を順守していないとして、UAE国内の指定非金融業・専門職(DNFBP)(注)セクターの29社に対し、2,260万ディルハム(約8億5,880万円、1ディルハム=約38円)相当の罰金を科すとツイッターで発表した。企業名、違反内容は公表されていない。
このような摘発は、定期的かつ頻繁に行われている。例えば2月27日付「ガルフ・ニュース」は、同法に違反した270社から30億ディルハム(約1,140億円)以上の不正な犯罪収益を没収したと報じており、関係当局が積極的に監視、摘発していることがいうかがえる。
UAEはAML/CFT法において、マネーロンダリング犯罪の違反者の定義を以下のとおり定めている。指定非金融業・専門職だけではなく、UAEに居住するすべての住民(メインランド、フリーゾーンを問わない)が対象となり、違反した場合は、禁固刑や罰金刑が科せられる。また、時効は存在しない。
犯罪に由来する資金であることを認識し、意図的に以下の行為のいずれかを行う者。
- 不正な出所を隠蔽(いんぺい)または偽装する目的で、犯罪収益を譲渡または送金すること
- 収益またはその所有権に関する性質、起源、場所、処分方法、移動または権利を隠蔽または偽装すること
- 当該収益を取得、所有、または使用すること
- 前提犯罪(犯罪収益の源泉となる犯罪)の加害者が処罰を免れることを支援すること
UAEでは、以下のとおり多くの政府機関が、マネーロンダリング犯罪の監視および捜査、検察への通知に関わっており、厳格な対応が取られている。
- UAE中央銀行:UAE国内の金融機関への監督、指導
- 証券商品取引等監視委員会:金融証券などの監視、摘発
- 金融サービス規制機構:アブダビの金融フリーゾーンであるアブダビ・グローバル・マーケット内の監視、摘発
- ドバイ金融サービス局:ドバイの金融フリーゾーンであるドバイ国際金融センター(DIFC)内の監視、摘発
- 法務省、経済省、その他フリーゾーン当局
(注)DNFBPとは、「Designated Non-Financial Businesses and Professions」の略で、マネーロンダリング対策に取り組む国際組織FATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)が定める以下の業種を指す:カジノ、不動産業者、貴金属商、宝石商、弁護士、公証人その他の独立法律専門家および会計士、トラスト・アンド・カンパニー・サービスプロバイダー(法人設立の仲介者として行動する業者など)。
(吉村優美子)
(アラブ首長国連邦)
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