国営石油ペトロナス、脱炭素推進に向けたハッカソン開催
(マレーシア、日本)
アジア大洋州課
2023年03月20日
マレーシアの国営石油会社ペトロナスは3月13~16日、ハッカソンイベント「Race2Decarbonise(脱炭素に向けたレース)」を開催した。同社は燃焼、フレアリング・通気、漏出などさまざまな領域で脱炭素化につながるアイデアを募集していた。世界各国から500を超える提案があり、1次審査で選ばれた31のソリューションが最終審査に進んだ。イベントではトラックA(実証済みソリューション)とトラックB(新規ソリューション)で賞が設けられ、トラックAでは、電子制御システムや自動化機器を販売する米国ハネウェルが大賞を受賞した。ハネウェルは稼働中のタービンが緊急停止した際の停電を防ぐGT-BESSという独自のバッテリーエネルギー貯蔵システムを提案した。トラックBでは、バルブ漏れを減らすソリューションを提案したペトロナスの社内チームが大賞を受賞した。そのソリューションは今後2年以内に同社の施設で導入する予定だ。
同社は2050年までのカーボンニュートラル達成を宣言している。達成に向けた短期的な目標として、2024年にマレーシア事業の温室効果ガス(GHG)排出量を二酸化炭素(CO2)換算ベースで4,950万トンに削減、2025 年にグループ全体の天然ガスバリューチェーンからのメタン排出量を50%削減する目標を掲げる。また、中期的には2030年までにグループ全体のGHG排出量を2019年比25%削減する(注)としている。これらのターゲット達成に向け、同社は資本支出の20%を脱炭素化やクリーンエネルギー事業の拡大に充てる方針だ。日本企業・機関も連携の機会を模索しており、3月6日にエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が同社と協力覚書を締結し、カーボンニュートラル分野を対象とした事業創出に向けて協議を進めることで合意した。
(山口あづ希)
(マレーシア、日本)
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