医療用・商用大麻の栽培、販売を解禁
(ラオス)
ビエンチャン発
2023年02月09日
ラオス保健省が2022年12月28日付で発布した「医療用・商用大麻(Cannabis sativa L.)の管理に関する保健大臣合意(No.3789/MOH)」が1月26日から施行された。
同合意では、これまで一切禁止してきた大麻の栽培、加工、保管、流通販売、輸出入を条件付きで認可した。カンナビジオール(CBD、注1)を主成分とする医療用と商用の製品でのデルタ9-テトラヒドロカンナビノール(THC、注2)含有基準は、乾燥重量の1%未満もしくは製品の0.2%未満と定めた(第3条)。製品ではTHCが0.2%未満、CBDはTHCの4倍以上含まれることを条件とした(第11条)。
国内で大麻関連事業を行う企業は、保健省に技術者を登録する必要がある。技術者はラオス国籍の保有者かつ居住者で、薬学もしくは化学の学士以上の学歴と、5年以上の製薬の実務経験が求められる(第7条)。事業ライセンスは3年間で延長が可能(第20条)。大麻栽培で使用する品種は登録済みの種子に限定する。種子の輸入量は栽培面積1ヘクタール当たり5万2,000種子もしくは2.2キログラムまでとした(第8条)。
加工では、大麻の部位により用途を定めており、種子は抽出により食品添加物、新薬、生薬、健康食品への利用、花序(注3)は新薬、生薬、健康食品、食品添加物、飲料、化粧品への利用、葉は伝統薬、茶、化粧品への利用、根や茎、繊維は伝統薬、化粧品(洗浄用途)とした(第16条)。
国内販売では、食品薬品局への登録が必要で、花序はTHC1%未満(乾燥重量)と規定した。健康食品や化粧品、飲料、CBDオイルは登録後に一般販売が可能とした(第11条、18条)。なお、同合意では外資規制については不明瞭なことから、今後の通達を待つ必要がある。
ラオスでは2019年に中国企業へ医療用大麻栽培の初期調査に対して認可が与えられた(2019年5月21日記事参照)。2021年11月にはカナダのカルティバとラオス保健省伝統薬研究所が共同で大麻の栽培や分析試験、商用抽出加工施設の建設に合意しており、現在建設が進められている(「ビエンチャン・タイムズ」紙2021年11月3日)。
(注1)大麻に含まれる成分の1つ、向精神作用や依存がないとされ、規制の対象外。医療へのさまざまな応用の可能性があると期待されている。
(注2)大麻に含まれる成分の1つ、向精神作用があり、規制の対象。
(注3)複数の花が集団をなしているもの。
(山田健一郎)
(ラオス)
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