東京ガス、先進的DAC技術有する米グローバルサーモスタットへ出資

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年02月03日

東京ガスは1月19日、同社子会社を通じて、二酸化炭素(CO2)の直接大気分離回収(DAC)の先進的技術を有する米国のグローバルサーモスタット(GT、本社:コロラド州ブライトン)に、日本のエネルギー企業として初めて出資し、同社との協業に向けた基本合意書を締結したと発表した。

DACは、大気中のCO2を直接回収することから、ネガティブエミッション(注1)技術として世界的に注目されており、将来のCO2ネットゼロの実現に資する技術だとされている。

GTは、CO2と再生可能エネルギー由来の水素を用いて製造した合成燃料(e-fuel)の生産プロジェクトでDAC導入を進めており、先進的なDAC技術を有している。また、効率的に大量の空気を処理することや、CO2回収エネルギーコストの低減に向けて、独自の固体吸着方式(注2)に関するDAC技術開発を10年以上にわたり進めているという。

東京ガスは今後、GTのDAC技術によるCO2回収試験を日本で初めて実施するとともに、DACの実用化を進めていくとしている。将来的には、DACで回収したCO2を国内外のメタネーションやCO2回収・利用・貯留(CCUS)などに活用するなど、新たな脱炭素エネルギービジネスを展開していく方針だ。

東京ガスの専務執行役員兼デジタルイノベーション本部長の木本憲太郎氏は「GTのDACは、脱炭素社会への移行に必要な技術と確信している。GTとの協業を通じて、グループ経営ビジョン『Compass2030』で掲げた『CO2ネットゼロ』の実現に向け、脱炭素分野でのソリューションの開発に取り組んでいく」と述べた。

東京ガスは米国での脱炭素化の取り組みを進めており、2022年11月に、大阪ガス、東邦ガス、三菱商事と、米国テキサス州とルイジアナ州での合成メタン(e-methane)の製造や、キャメロン液化天然ガス(LNG)基地、液化天然ガス(LNG)船・受け入れ基地などの既存LNGサプライチェーンを活用したe-methaneの液化・輸送、ならびに、2030年の日本へのe-methane導入開始に向けた検討に着手したと発表した(2022年12月7日記事参照)。

(注1)大気中からCO2を除去することなどにより、正味としてマイナスのCO2排出量を達成すること。

(注2)CO2を吸着する固体を用いてCO2を回収する方式。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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