米国USTRの要請に基づき、ブラック ジャック ランキング
(メキシコ、米国)
メキシコ発
2023年02月13日
メキシコのコアウイラ州ピエドラス・ネグラス市にある自動車用内装部品メーカー、マヌファクトゥラスVU(以下、VU)の労働権侵害を巡る、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM、スペイン語ではMLRR)」に基づく米国通商代表部(USTR)からの事実確認要請(2023年1月31日記事参照)に対し、メキシコ政府は2月9日、米国政府の要請を正式に受諾し、本件についての調査を開始することを米国政府に通知した。協定が定める45日以内に、VUの工場における労働権侵害の有無を判定するとしている。またメキシコ政府は、国内労働法規とUSMCAの労働規定を効果的に適用し、メキシコにおける労働者の権利の保護に繰り返しコミットすると強調している(2023年2月9日付メキシコ経済省プレスリリース)。
VUの工場における労働権侵害については、メキシコ労働者総連合(CTM)傘下の組合が企業(VU)と結託して、メキシコ労働総同盟(Liga Sindical Obrera Mexicana:LSOM)の労働協約締結権(代表権、注)の取得プロセスを阻害したとし、LSOMと労働者国境委員会(Comite Fronterizo de Obreras)が2022年6月21日に米国政府にMLRR提訴し、7月21日にUSTRが第1回の事実確認要請を行い、同月29日にメキシコ政府が同要請を受諾して調査を行った経緯がある。LSOMは7月17日に、メキシコの連邦調停労働登録センター(CFCRL)に対して正式に代表権取得プロセスを開始することを通達し、メキシコ政府の監視の下で8月31日に行われた代表権獲得投票において、LSOMが186対101の賛成多数で勝利した。USTRは9月14日、LSOMが勝利したことを受け、同労働権侵害について問題が解決したと発表していた(2022年9月20日記事参照)。しかし、その後もVUはCTM傘下の労働組合に便宜を図り、LSOMとの労働協約の交渉開始を遅らせ、2022年9月にLSOMとの間で合意した内容を順守していないとLSOMは主張し、米国政府への2回目のMLRR提訴に至っている。
CTMの弱体化、組合活動の過激化を懸念
メキシコ労働者総連合(CTM)は、メキシコ最大の労働組合の連合団体であり、その活動は比較的穏健とされてきたため、進出日系企業の多くがCTMブラック ジャック ランキングしている。メキシコの事業所における労働権侵害を巡り2021年5月以降に着手された5件のMLRR提訴案件では、全てにおいてCTMが今まで企業との間で締結していた労働協約が否認され、新たな労組に代表権を奪われる結果となっている。今後、CTMの弱体化が進むとともに、これ以上の代表権喪失を防ぐため、CTMがより労働者よりの立場に方針転換する可能性もある。また、外部の過激な独立系労組がCTMブラック ジャック ランキングする企業に対し、今後、代表権奪取に向けた圧力をかけてくることも懸念され、自動車産業を中心に組合活動の過激化が懸念されている。
(注)2019年5月1日公布の連邦労働法改正に基づき新設された第390-Bis条で、労働協約を締結する組合が労働者の声を真に代表すること(最低でも職場の30%以上の労働者の署名が必要)を確認する、組合間の投票プロセスが定められている(2019年5月7日記事参照)。
(中畑貴雄)
(メキシコ、米国)
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