米主要港、12月の小売業者向け輸入コンテナ量は2.6%減、2022年通年で1.2%減、東海岸へのシフト鮮明
(米国)
ニューヨーク発
2023年02月09日
全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」(2月7日)によると、2022年12月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比2.6%減の173万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)となり、2022年8月以降、4カ月連続の減少となった。NRFによると、2023年2月の輸入貨物量は新型コロナウイルスの感染拡大以来、約3年ぶりの低水準になると見込んでおり、月間輸入量が200万TEUまで回復するのは2023年6月になると予想している。
NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は、貨物の取扱量が減少している背景について「米国経済が減速し、消費者が金利上昇と高インフレを懸念する中、小売業者は商品の輸入を減らしている」と述べており、「小売業者は、インフレを抑制する取り組みに経済がどう反応するかを見極めるため、慎重になっている」と指摘した。
また、ハケット・アソシエイツの創設者ベン・ハケット氏は「2023年は、ある意味で、パンデミックにより世界経済が停止し、誰もが先を見通せなかった2020年を彷彿(ほうふつ)させる。貨物量は減少しており、経済は繁栄に寄与する雇用(市場の力強さ)や賃金の上昇と同時に、高インフレや金利上昇が不況を脅かすという矛盾に直面している。停滞状態とはほど遠いものの、不確実性の度合いは非常に似ている」と述べている。
グローバル・ポート・トラッカーによると、2022年の小売り関連のコンテナ貨物取扱量は2,550万TEUに達し、2021年に記録した年間記録(2,580万TEU)から1.2%減となった。また全業種でみると、国内主要港の中で、ロサンゼルス港が最多の990万TEUを取り扱い、ニューヨーク・ニュージャージー港(949万TEU)がロングビーチ港(913万TEU)を抜き、全米2位となった。米国西海岸の労使交渉の行方に不透明さが残っており、輸送先が東海岸にシフトしたことで、ニューヨーク・ニュージャージー港の貨物取扱量は、新型コロナ禍前の2019年と比べ29%増加した。また、初めて900万TEUを突破した(ジーキャプテン1月26日)。
なお、NRFは2023年上半期の貨物取扱量について、前年同期比19.4%減の1,090万TEUになると見込み、2022年より鈍化するとしている。
(注)主要輸入港には、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港が含まれている。
(樫葉さくら)
(米国)
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