EUのガス削減率、1月末時点で努力目標15%を上回る19%に
(EU)
ブリュッセル発
2023年02月28日
EU統計局(ユーロスタット)は2月21日、2022年8月~2023年1月のEUの天然ガス消費量(注)が過去5年(2017~2022年)の同時期平均と比べて19.3%減少したと発表した(プレスリリース)。EU理事会(閣僚理事会)は2022年8月、「リパワーEU計画」()に基づいてロシア産化石燃料への依存解消を進めつつ、域内のエネルギー安定供給確保のために、2022年8月~2023年3月の期間中に、天然ガス消費量を過去5年間の同時期平均から15%削減に自主的に取り組むガス需要削減規則を採択していた(EU理事会、一部加盟国に配慮し大幅な例外容認するも、ブラック)。
2022年8月~2023年1月の天然ガス消費量の削減率(対過去5年間の同時期)を加盟国別でみると(キプロスを除く)、フィンランドが57.3%減と最も大きく、次いでリトアニアが47.9%減、スウェーデンが40.2%減だった。一方で、マルタとスロバキアの2カ国は過去5年間よりも消費量が増加したほか、削減率が低かった加盟国は、アイルランド(0.3%減)、スペイン(13.7%減)、スロベニア(14.2%減)などだった。その他の加盟国は目標の15%減を達成している。
今回の結果は、ガス需要削減規則の目標達成に向けて、EU全体で軌道に乗っていることを示し、EUレベルの警報が発動されて15%のガス消費削減が義務化される局面は回避される見通しが強まっている。一方で、欧州委員会は「復興レジリエンス・ファシリティー(RRF)」をエネルギー対策に充てるための改正法(EU復興基金、ブラック ジャック)で、エネルギー需要削減のインセンティブにもRRF予算を振り分けることを可能とするなど、さらなる省エネ対策が実施されていく見込みだ。
(注)消費量は天然ガスと液化天然ガス(LNG)。バイオガスは除く。生産量に輸入量を加え、輸出量とストック変動量を差し引いて計算。
(大中登紀子)
(EU)
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