GMと米半導体メーカーのグローバルファウンドリーズが長期供給契約に合意
(米国)
ニューヨーク発
2023年02月14日
米国自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)と半導体受託製造大手のグローバルファウンドリーズ(GF)は2月9日、米国における自動車用半導体チップの長期的な直接供給に合意したと発表した。今回の合意により、GFはニューヨーク州北部にある同社の半導体製造施設において、GMのサプライヤー向けに納入するチップの生産を開始する。供給量など合意内容の詳細は明らかになっていないが、GFは生産体制を拡大して対応することが報じられている(CNBC2月9日)。
自動車メーカーは、新型コロナウイルスの感染拡大に対し、組み立て工場を一時閉鎖するなどで対応した。これにより車両生産が減少したため、半導体メーカーはほかの製品に生産を振り向け、車載用半導体の不足に陥ったという経緯がある。調査機関のオートフォーキャスト・ソリューションズによると、半導体不足に伴う北米における2022年の自動車累積減産台数は約165万台に上り、2023年には約92万台の減産を予測している(オートモーティブニュース2022年12月18日、2023年2月12日)。これまで半導体の供給に関する同メーカーとの交渉は主に部品メーカーが行ってきたが、こうした半導体不足の長期化により、メーカーが自らサプライチェーンに関与する動きが出ている。
GFは半導体の受託生産を行う企業(ファウンドリー)で、2009年にカリフォルニア州で設立した。現在はニューヨーク州に本社を置き、日本(神奈川県横浜市)を含め世界16カ所に拠点を構える。2022年第3四半期の売上高は、ファウンドリーの中で世界4位(EEタイムスアジア2022年12月16日)。今回の契約締結に関し、同社のトーマス・コールフィールド社長兼経営最高責任者(CEO)は「GFは、GMのサプライチェーン専用に生産能力を拡大して、自動車業界およびニューヨーク州とのパートナーシップを強化する。さらに、米国を拠点とした製造により自動車のイノベーションをさらに加速させ、より強靭(きょうじん)なサプライチェーンの実現を可能にする」と意気込みをみせた。また、ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事(民主党)は「この合意は、ニューヨーク州を半導体製造の主要拠点として確立させるだろう。われわれは、全米をリードするグリーンチップ法(注)や新設した『半導体の拡張、管理、および統合のための知事室』により、GMやGFのような企業が州内のチップ製造エコシステムを拡大し、次世代に雇用と機会を創出するのを支援する」と歓迎した。
(注)2022年8月11日にニューヨーク州で成立した、州内の半導体事業の促進を目的とした法律。
(大原典子)
(米国)
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