米フォード、ミシガン州でバッテリー工場に35億ドル投資
(米国、中国)
シカゴ発
2023年02月17日
米国自動車大手フォードは2月13日、 リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池を製造するバッテリー工場をミシガン州マーシャルに建設すると発表した。投資額は35億ドル、2026年に生産を開始する予定で、従業員数は新規に2,500人を雇用する見込みだ。
同社は、中国のバッテリー製造大手の寧徳時代新能源科技(CATL、本社:福建省寧徳)と新たに協定を締結したことで、欧州とアジアで13の工場を運営するCATLが提供するLFP電池の技術とサービスを利用し、同工場で電池セルを製造することとなる。生産するLFP電池は、高需要・高コストのコバルトやニッケルなどの材料を使用しないタイプの電池で、耐久性に優れており、フォードの次世代電気自動車(EV)やピックアップトラックなどのさまざまな動力源として活用する予定だ。この新工場は米国でのフォードのバッテリー生産能力を年間約35ギガワット時(GWh)に増加させ、将来的に同社のEV約40万台分に相当する電力を供給することができるようになるという。
フォードのリサ・ドレイクEV産業化担当バイスプレジデントは「フォードは当初、このバッテリー工場の建設地として米国外も検討していたが、ミシガン州に決めた理由は、EV購入時の税額控除のルール(注)によるところも大きい」と述べている(CNN電子版2月13日)。
ミシガン州経済開発公社(MEDC)は、同州でのフォード新工場建設に関して、「2030年までに、米国でEVとバッテリーの製造を席巻するというミシガン州の目標をさらに確実なものにする」と発表している。
今回のバッテリー新工場は、フォードが韓国SKイノベーション と2021年に発表したケンタッキー州とテネシー州のEVバッテリー工場新設に次ぐものとなる(2021年9月29日記事参照)。
(注)2022年に成立したインフレ削減法では、EVなどのクリーンビークル購入時の税額控除の対象となる自動車に関して、車両の最終組み立て地や、バッテリーの重要鉱物、部品の調達先などについて要件を定めている(2022年12月14日記事参照、2023年1月5日記事参照)
(齋藤秀美、星野香織)
(米国、中国)
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