マクロン大統領、原子力政策評議会を招集

(フランス)

パリ発

2023年02月14日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2月3日、原子力政策評議会の第1回会合を開いた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同評議会は、マクロン大統領が打ち出した6基のEPR2(改良型欧州加圧水型炉)建設計画の発表からほぼ1年を経て招集された(2022年2月17日記事参照)。既存の原子炉の運転期間を60年以上に延長するための調査を開始することを承認するとともに、2月末にパブリックコンサルテーションが終了するEPR2建設計画に関する主な課題を検討した。

評議会はまず、議会で審議中のEPR2建設の加速に向けた「既存原発の隣接地での原子炉新設に関わる手続きの加速と既存原発の運営に関わる法案」が原子炉建設に係る行政手続きを短縮化し、建設現場の効率化を可能にするとの認識を示した。その上で、新原子炉の建設に関する省庁間委員会(DINN)を設置し、建設計画の日程と目標を守るために関係者間の調整を行うと発表した。

また、新原子炉の建設プログラムには小型モジュール炉(SMR)と革新モジュール炉(AMR)の開発も含まれるとして、2030年代にこれらの1号機の設置を目指し、フランス電力(EDF)が進めるSMR開発プロジェクト(NUWARD)とAMRの開発支援を通じて、事業を加速させることを承認した。

エネルギー主権に必須となる核燃料サイクルの問題について、フランスの戦略的自律を維持・強化するため、詳細な検証を開始する。評議会は、原子炉建設プログラムが核燃料廃棄物の最終処分に与える影響についても調査を実施し、2023年の次回会合で幾つかの報告書を発表する。また、原子力産業の人材育成に向けた職業訓練計画の策定を承認した。

なお、原子力政策評議会は今後、年2回開催される。2023年6月の会合では「2030~2035年の数年次エネルギー計画」における原子力発電関連の方針を承認する予定だ。2023年末の会合ではEPR2建設計画について詳細な検討を行うほか、核燃料サイクルの下流部門に関する決定を行う。

(山崎あき)

(フランス)

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