1月の米消費者物価、前年同月比6.4%上昇、コア指数は5.6%で鈍化も予想より上振れ
(米国)
ニューヨーク発
2023年02月15日
米国労働省が2月14日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比6.4%上昇となり、前月の6.5%から減速する一方、民間予想の6.2%を上回った(添付資料図参照)。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数も、同5.6%上昇で前月の5.7%から鈍化したものの、これも民間予想の5.5%を上回った。前月比でみると、CPIは0.5%上昇(前月0.1%上昇)、コア指数は0.4%上昇(0.4%上昇)となり、ともに民間予想(それぞれ0.4%、0.3%)を上回った。
品目別に前年同月比でみると、ガソリンは1.5%上昇(前月1.5%低下)と2カ月ぶりに、前月比でも2.4%上昇と3カ月ぶりにそれぞれ上昇した。食料品は10.1%上昇(10.4%上昇)と、伸びが5カ月連続で鈍化し、内訳でも、家庭用食品と外食の伸びがともに鈍化した。財は1.4%上昇(2.1%上昇)と、伸びは5カ月連続で鈍化したが、前月比では0.1%上昇と4カ月ぶりに上昇に転じた。そのうち、中古車は11.6%低下(8.8%低下)と3カ月連続でマイナスだった。新車も5.8%上昇と、伸びが前月(5.9%上昇)からやや鈍化した。一方で、サービスは7.2%上昇(7.0%上昇)し、物価全体の約3割を占める住居費も7.9%(7.5%上昇)と引き続き伸びが加速している。そのほか、輸送サービスも14.6%上昇と、前月(14.6%上昇)に続いて伸びが高い(添付資料表参照)。
CPIは7カ月連続で鈍化したものの、全般的に市場予想より高い伸びを示し、インフレ鈍化に一服感がみられる。特に、これまでインフレの鈍化を引っ張ってきたガソリンなどのエネルギー価格、財価格の鈍化にその兆候がみられる一方で、サービス価格ではウエートの高い住宅費の伸びが引き続き加速しているほか、輸送サービスなど人件費に左右されやすい住宅費以外のサービス価格の加速、ないし高止まりの傾向は変わっていない。米国連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は「物価動向がわれわれの見通しどおりであれば、年内の利下げは適切ではない」と述べ()、高金利の継続を示唆しており、予想外に強かった1月分の雇用統計の結果もあわせて考えると(米1月の雇用者数51万7,ブラック)、今回のCPIはこうしたFRBの主張を支持する結果となったと言えそうだ。
(宮野慶太)
(米国)
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