メルセデス、電動化に向けたパワートレイン戦略を発表

(ドイツ、中国、ルーマニア)

ミュンヘン発

2023年01月04日

ドイツ自動車大手のメルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツは1214日、電動化に対応するパワートレインなどの生産戦略を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は、市場動向によっては2030年までに全新車販売を電気自動車(EV)にする可能性もあるとしている(2021年8月3日記事参照)。2024年ごろからEV向け部品の製造を本格化していく。

同社は、パワートレイン系生産拠点を世界14カ所に有する。うち、グループ本社もあるバーデン・ビュルテンベルク州シュツットガルト近郊のウンタートゥルクハイム工場では、2024年から電気駆動ユニットを製造する。小型・中型車用のプラットフォーム「MMA(メルセデス・モジュラー・アーキテクチャー)」向けなどに100万基の生産を目指す。また、eアクスル(電動アクスル、注)の組み立てのほか、2024年からバッテリー式電気自動車(BEV)である「EQシリーズ」向けに蓄電池も本格生産する。同拠点には、次世代の蓄電池・蓄電池セルを研究開発する「メルセデス・ベンツeキャンパス」も設置された(2022年6月14日記事参照)。

蓄電池関連では、東部ザクセン州ドレスデンの北東約40キロにあるカーメンツ工場で2024年から「MMA」向け蓄電池を生産する。同拠点では、2012年からEV用蓄電池を生産している。また、北京汽車集団との合弁会社BBACの北京工場では、2025年からEQシリーズ向け蓄電池と電気駆動ユニットを本格生産する。同工場では2013年からガソリンエンジンを生産、2019年から蓄電池の生産も開始している。

電気駆動ユニットは、ルーマニア・セベシュにある100%子会社でも、2025年からEQシリーズ向けに本格生産する。また、eアクスルと部品は、ハンブルク工場でも2024年から本格生産し、ブレーメン工場に納品する。ベルリン工場では、202111月発表のとおり(2021年11月25日記事参照)、2025年ごろから超高性能モーターを製造し、高級スポーツカー向けプラットフォーム「AMG.EA」に活用される予定だ。

エンジン工場から蓄電池工場へ

電動化の象徴的な事例が、東部チューリンゲン州ケレダ工場だ。同工場では、メルセデス・ベンツ子会社が2003年から、ガソリン・ディーゼルエンジンを製造。従業員数は約1,300人。メルセデス・ベンツは今回、チューリンゲン州の支援を条件に、同工場でEQシリーズ向け蓄電池を2025年ごろから生産するとした。同州は20221214日、メルセデス・ベンツとの意向表明書(LoI)締結を発表、支援を行うとした。同州のボルフガング・ティーフェンゼー経済相は「ケレダ工場のサクセスストーリーはなおも続く」とコメントしている。

(注)モーター、ギア、インバーターなどの部品を一体化した電気駆動モジュール。

(高塚一)

(ドイツ、中国、ルーマニア)

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