2023年に主要国は不況リスクに直面、国連経済見通し

(世界)

国際経済課

2023年01月26日

国連経済社会局(UN DESA)は1月25日、「世界経済状況・予測」の2023年報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。2023年の世界の経済成長率(実質GDP伸び率)を1.9%と、2022年の3.0%から低下すると予測した(添付資料表参照)。また、前回(2022年5月時点)の見通しと比べ、1.2ポイント下方修正した。

1.9%という成長率は、ここ数十年で最も低い水準の1つとしている。UN DESAは、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)禍やウクライナ紛争など一連の打撃に伴う、金利上昇と購買力の減退が消費者マインドと投資家心理を弱め、短期的な経済見通しにおける不透明感が増していると指摘する。報告によると、世界の金融当局の85%以上が2022年に金利を引き上げている。UN DESAは、主要国による急激な金融引き締めが市場から流動性を奪い、世界経済に大きな負の波及効果をもたらしたとしている。

米国(2023年の実質GDP伸び率予測:0.4%)では、米国連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を4.25~4.5%まで引き上げたこと(米FRB、政策金利を0.カジノ)などを受けて、個人消費が減少すると予測する。EU(0.2%)は、ガス不足などエネルギーの供給混乱に弱く、欧州諸国の多くが緩やかな不況に陥る見通し。英国(マイナス0.8%)もEU離脱(ブレグジット)の影響が残る中、2022年後半からすでに不況下にあるとしている。日本(1.5%)については、金融緩和策の中で比較的良い部類に入る一方、長期化する半導体不足や円安による輸入コストの上昇、外需低迷が工業生産を押し下げると指摘した。

中国(4.8%)は、ゼロコロナ政策の見直しや金融緩和によって、2023年には緩やかに上向く見通し。一方、経済再開には浮き沈みがあるとして、新型コロナ禍以前の水準である6~6.5%を下回ると予想している。中国を除く東アジア諸国については、生活費の上昇や欧米外需の低迷により、失速するとした。インド(5.8%)は、金利上昇や世界経済の低迷により、2022年の6.4%成長には及ばないが、引き続き好調を見込む。

2024年の世界経済について、UN DESAはマクロ経済上の逆風が収まる想定で、2.7%と緩やかに回復するとした。世界全体で需要が弱まることでインフレ圧力が和らぎ、FRBを含む主要国・地域の中央銀行が金融引き締めの速度を落とし、最終的に金融緩和策に移行可能との見方を示した。ただし、経済や金融、地政学、環境など無数のリスクは続いており、短期的な経済見通しは不確実としている。

(藪恭兵)

(世界)

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