現代自動車が自動車組立工場設立に向けた覚書を締結

(サウジアラビア、韓国)

リヤド発

2023年01月10日

サウジアラビアの産業・鉱物資源省は2022年12月31日、韓国の現代自動車とサウジアラビア国内で自動車組立工場を新規に設立することを目的に覚書を締結した〔2022年12月31日付サウジアラビア国営通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(SPA)〕。

調印式には、サウジアラビア政府からバンダー・ビン・イブラヒム・アール・ホライェフ産業・鉱物資源相のほか、ファイサル・ビン・ファデル・ビン・モフセン・アール・イブラヒム経済・企画相、サウジアラビア工業開発基金のイブラヒム・アール・モジル最高経営責任者(CEO)が出席した。

産業・鉱物資源省は、この覚書がサウジアラビアの経済基盤の多様化を目指す「サウジ・ビジョン2030」の目的に沿って、現地生産能力の発展という国家の産業戦略目標を実現し、地域における自動車生産分野の協力強化を図るものだと説明。また、今回の覚書は、現代自動車が環境安全性と持続可能性を担保する事業や事業計画で(同社の)起業家精神を発揮し、サウジアラビアと共同投資の機会を模索することに高い関心を示し、計画したことを受けたものであることを明らかにした。覚書では、電気自動車(EV)と内燃機関自動車の完全ノックダウン方式(CKD)の組立工場を建設する計画であることを定めているが、具体的な生産台数や生産開始時期などのスケジュールについては明らかにされていない。

サウジアラビア政府は2022年10月に発表した「国家工業戦略」(2022年10月24日記事参照)で、自動車産業の現地化と投資機会の拡大を目指しており、今後10年間で国内の軽車両(light vehicle)販売台数は年率平均2.2%増加すると予想している。自動車分野の現地生産化は、軽車両の市場規模に加えて、同市場の拡大速度が今後10年間で国際市場と比較して2倍であることが見込まれることから、地域的に大きな利益を生むと期待されている。2022年以降、米国の新興EVメーカーであるルシード・モータースと、サウジアラビアの自国EVブランドのCeerがサウジアラビアでの工場設立計画を公表している(2022年11月17日付地域・分析レポート参照)。

(秋山士郎)

(サウジアラビア、韓国)

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