2022年のGDP成長率は8.02%、第4四半期は5.92%に減速

(ベトナム)

ハノイ発

2023年01月10日

ベトナム統計総局は1229日、2022年の実質GDP成長率(推計値)を前年比8.02%と発表した。2022年初に公表した政府目標6.06.5%を達成し、1997年以来となる8%超えで近年最も高い成長率となった(添付資料図参照)。1人当たりGDP4,110ドル(前年比393ドル増)相当と推定され、4,000ドルに到達した(注)。一方、2022年第4四半期の成長率は前年同期比5.92%で、第3四半期(同13.67%)と比べて大きく減速した。

2022年の成長率を産業別にみると、農林水産業が3.36%、鉱工業・建設業が7.78%、サービス業が9.99%となった(添付資料表1参照)。農林水産業は、畜産物の安定供給や養殖水産の生産量・輸出額の増加に伴い、安定した成長率になった。鉱工業・建設業は、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)流行前の2019年には及ばないものの、前年の2倍近い成長率となった。GDPの約4割を占めるサービス業は、新型コロナ流行下の低迷からの反発で、大きく回復して経済成長を牽引した。

2022年の四半期別の成長率は、第1四半期(13月)5.05%、第2四半期(46月)7.83%、第3四半期(7月~9月)13.71%、第4四半期(1012月)5.92%だった。第4四半期の成長率を産業別にみると、農林水産業が3.85%、鉱工業・建設業が4.22%、サービス業が8.12%となった(添付資料表2参照)。世界経済減速の影響などから、GDPの約25%を占める製造業の伸びが2.98%と鈍化し、全体の成長率が伸び悩んだ。

2023年について、ベトナム国会はGDP成長率目標を6.5%と定めている(2022年11月24日記事参照)が、グエン・ティ・フオン統計総局長は「国際情勢が予測困難であり、ベトナムの経済成長に与える影響も大きいため、2022年の順調な成長に対し、2023年は挑戦的な目標となるだろう」と見通しを述べた。

(注)1人当たりGDPは、2022年の平均中央為替レート(20221223日時点、ベトナム国家銀行)1ドル=23,271.9ドンで換算。直近の統計年鑑によると、2021年の1人当たりGDP3,717ドル、2020年は3,552ドルとなっている。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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