韓国ハンファQセルズ、ジョージア州の太陽電池モジュール施設拡大へ25億ドル投資
(米国、韓国)
アトランタ発
2023年01月12日
韓国財閥ハンファグループ傘下のクリーンエネルギー関連企業ハンファQセルズは1月11日、25億ドル以上を投じてジョージア州の太陽電池モジュール製造施設を拡大すると発表した。同社の発表によれば、原材料から完成品のパネルに至るまで、シリコン系太陽光発電の完全一体型のサプライチェーンを米国内で確立した唯一の企業となる。
ハンファグループは、2012年にドイツの太陽電池メーカーだったQセルズを買収し、ハンファQセルズを設立。米国の商業用太陽電池モジュール市場において2019年から2021年にかけてシェア1位となるなど、米国の太陽電池市場を牽引している。ジョージア州においては、2019年に州北西のウィットフィールド郡ダルトンに西半球で最大となる1.7ギガワット(GW)の生産能力を持つ太陽光パネル製造施設を開設した。今回の追加投資によって、アトランタ北西郊外のカーターズビルに新たな製造施設を建設するほか、ダルトンの既存の施設の隣にも新たに工場を建設する(注1)。これにより、同社の太陽光パネルの生産能力は2024年までに8.4GWとなり、1日当たりのパネル生産枚数が1万2,000枚から6万枚まで増加することが見込まれている。加えてQセルズは、ジョージア州拠点での雇用数も現在の750人から2024年までに4,000人まで拡大する意向だ。
気候変動対策を進めるバイデン大統領も歓迎
Qセルズによる大型投資は、ジョージア州に限らず、連邦政府からも歓迎されている。ジョー・バイデン大統領はホワイトハウスからの声明およびツイッターを通じて、今回の投資発表は太陽電池製造において米国市場最大の投資だと述べた上で、「わたしの経済計画とインフレ削減法(注2)の結果だ」と称賛した。Qセルズも今回の投資について、インフレ削減法が今回の投資を促進する助けになった、と発言したことも報じられている(「アトランタ・ジャーナル・コンスティチューション」紙電子版1月11日)。
(注1)Qセルズは、今回の発表に先立ち2022年5月にも1億7,100万ドルを投じてダルトンに新たに工場を建設することを発表しており、2023年上半期の操業開始が予定されている。
(注2)インフレ削減法()では、太陽光パネル、風力タービン、電気自動車などのクリーン技術製造施設の建設に対して100億ドルの投資税額控除を規定している。また、太陽光パネル、風力タービン、バッテリーや重要鉱物の処理を促進するための300億ドルの生産税額控除も含んでいる。
(石田励示)
(米国、韓国)
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