新型コロナ医療体制立て直しのため、衛生緊急事態を2023年末まで再度延長
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2023年01月17日
アルゼンチン政府は2022年12月30日、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大が社会や医療体制に引き続き影響を及ぼしていることを受けて、必要緊急大統領令(DNU)863/2022号を公布し、2020年3月12日に発令した衛生緊急事態を2023年12月31日まで再度延長した。
衛生緊急事態を継続する背景について政府は、新型コロナワクチン接種率は高い水準に達したものの、新型コロナ感染者数が再び増加したことに加えて、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルスなど呼吸器系ウイルスへの感染の増加が見られること、2020年から2021年にかけて、全国の外来患者数がそれまでの50%、基礎疾患者の治療件数が60%減少した反動で、現在、診察需要が大幅に増加し、その対応に追われていること、外出禁止措置による身体活動量の大幅な減少や食習慣の変化により、肥満や心血管疾患、代謝性疾患が増加していること、パンデミックがもたらした精神疾患の増加や、たばこ、アルコール、薬物およびテクノロジーへの依存が深刻化していることなどを挙げ、全国の医療体制を整える必要があるとしている。
政府は衛生緊急事態を継続することにより、必要に応じて定年退職した医療従事者の雇用、国内免許を有さない外国の医療専門家や技術者の雇用、事前認可を必要としない移動式救護施設の設置、官房長官の発令による国家予算の再配分などが実行できる。
保健省によると、2022年11月末の1週間当たりの全国の新規感染者数は約3,000人だったが、12月最終週は7万人以上と大幅に増加した。2023年1月1日から7日までの新規感染者数は約4万人に減少したとしているが、検査対象は主に50歳以上、基礎疾患を持つ者。1月第1週の死者数は78人で、集中治療室(ICU)で治療を受けている患者数は413人に上る。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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