2022年GDP成長率は1.9%、2023年の景気減速は緩やかな可能性も
(ドイツ)
ベルリン発
2023年01月17日
ドイツ連邦統計局は1月13日、2022年の実質GDP成長率(速報値、物価調整済み)を前年比1.9%と発表した(添付資料表参照)。新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大前の2019年と比較しても、2022年のGDPは0.7%増となった。
需要項目別では、主に個人消費支出が成長を支えた。個人消費支出は前年比4.6%増と大きく増加した。2022年春にほぼ全ての新型コロナ感染症対策が解除されたこと()を受けて、特に宿泊・飲食サービスへの消費が拡大した。また、建設投資が1.6%減となった一方で、機械設備投資は2.5%増と伸びた。ただ、輸出も大幅な物価上昇にもかかわらず増加したが、輸入が輸出の伸びを大きく上回ったため(輸入6.7%増、輸出3.2%増)、外需はGDP成長率を1.3ポイント(寄与度)押し下げた。
産業別では、分野によって状況が異なる。新型コロナ感染症対策の緩和によって、小売・運輸・宿泊・飲食業などは4.0%増と大幅に増加した。また、カジノ ブラック ジャック・通信業も3.6%増と引き続き好調だった。一方、建設業は、資材や熟練労働者の不足、建設コストの高騰などによって2.3%減と落ち込んだ。製造業は、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰や、中間製品の供給ボトルネックなどによって、0.2%増でほぼ横ばいとなった。
ルート・ブラント連邦統計局長は、2022年のドイツ経済について、ロシアによるウクライナ侵攻の影響とエネルギー価格高騰、材料や供給のボトルネック、熟練労働者不足や新型コロナ感染症の流行継続など厳しい状況にあったことを指摘しつつ、「全体的によく持ちこたえることができた」と評価した。
2023年の景気後退は当初の予想よりも緩やかで短い可能性も
今回の発表を受けて、ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は「インフレ率は依然として高水準であるものの、最近になって顕著に弱まっている」「今冬期の景気減速は予想よりも穏やかで短いものになるだろう」とし、「今年もドイツが強く競争力のある国であり続けるために先頭を切って行動していく」と述べた。
ドイツの消費者物価指数(CPI)上昇率は、ドイツ連邦統計局によれば、2022年9月に前年同月比10.0%と2桁台に突入、10月に10.4%と1990年ドイツ再統一以降で最高値を記録した後、11月は10.0%、12月は8.6%(速報値)と低下傾向にある。
また、2022年12月14日に発表されたifo経済研究所の冬季経済予測では、2023年の実質GDP成長率をマイナス0.1%と予測、2022年9月発表の秋季経済予測から0.2ポイント上方修正している(関連ブラック ジャック ブラック)。
(日原正視)
(ドイツ)
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