バッテリー産業強化に向け、ブラック ジャック コツ

(フィンランド)

ロンドン発

2023年01月31日

フィンランドの化学産業連盟は1月16日、同連盟傘下にバッテリー産業連盟(以下、連盟)を発足させると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同国においてバッテリー産業は急成長しており、複数の大規模プロジェクトが国内各地で進められていることに加え、今後数年で60億ユーロ以上の投資が見込まれている。

連盟には、主要関連企業9社(注1)が加盟。バッテリー産業は2027年までに少なくとも年間90億ユーロの収益を上げるとともに、6,000人を直接雇用し2万人の間接雇用を生み出すことを目指している。フィンランド地質調査所(GTK)によると、同国は鉱物資源が豊富で、バッテリー製造に必要なコバルト、ニッケル、リチウム、黒鉛などが生産されるほか、銅の重要な生産国でもある(添付資料表参照)。これらの原材料の採掘に加え、フィンランドは、精錬、バッテリーの製造、使用、充電、リサイクルに関連する技術に至るまで、生産チェーン全体で優れた専門知識を有している。連盟は、経済・雇用省が策定した「国家バッテリー戦略2025」を達成すべく、専門家育成、知見の収集、イノベーションや投資の促進などを実現し、競争力のある事業環境を整備することを目標としている。

国家バッテリー戦略2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」は経済・雇用省が、同国の、持続可能なバッテリー製造・リサイクルの先駆者としての役割を強化すべく、2021年に発表したもの。同戦略では以下7つの戦略的目標を設定している。

  • バッテリー・電化クラスターの成長と一新
  • 同産業への投資の増加
  • 同産業関係者間での協力を通じた競争力向上
  • フィンランドの同産業の国際的認知度向上
  • バッテリー産業の成長、一新、ブランディングにおける「責任」ある実行
  • 新興バリューチェーンにおける主要な役割を担当
  • デジタル技術を通じ技術や企業基盤を拡大、同産業の成長を促進

これらの目標達成に向けた取り組みとして、産官学の関係機関の協力促進、産業界での競争力拡大、国際的な連携強化、継続的な投資を呼び込む事業運営環境の開発、持続可能かつ責任ある生産の推進、フィンランドのバッテリー・電化クラスターのブランド強化、資金の拡充を挙げている。

(注1)国有企業フィンランド・ミネラル・グループ、テラフェイム、ユミコア・フィンランド、ジャーボイス・フィンランド、ノリリスク・ニッケル・ハリヤバルタ、フォータム・バッテリー・リサイクリング、BASDバッテリー・マテリアルズ・フィンランド、ケリベル、CNGRフィンランド。

(注2)フィンランドのEVバッテリーの状況についてはジェトロ・レポートPDFファイル(1.4MB)も参照。

(半井麻美)

(フィンランド)

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