日英伊、次世代戦闘機の開発で協力
(イタリア、英国、日本)
ミラノ発
2022年12月26日
日本、イタリア、英国は12月9日、「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」に関する共同首脳声明を発表した。次世代戦闘機開発において協力する(日本外務省プレスリリース、イタリア政府プレスリリース、英国政府プレスリリース)。
12月9日付の「イルソーレ24オーレ」紙によると、3カ国は、NATO加盟国が共同開発した現行の戦闘機「ユーロファイター タイフーン」(注)の後継に当たる戦闘機「テンペスト」を共同開発する。2024年から着手し、2035年の運用開始を目指す。日本は次期主力戦闘機導入計画(F-X)において後継機の開発計画を進めており、英国とイタリアの「テンペスト」プロジェクトに加わるかたちとなった。第二次大戦以降、日本が戦闘機開発において、米国以外の国とパートナーシップを結ぶのは今回が初めてとなる。
共同声明によると、同プログラムは3カ国の経済や産業に恩恵を与え、雇用も創出し、デジタル化や新しい生産プロセスの研究開発への投資も引きつける機会となるとしている。また、プログラムに冠した「グローバル」という名称は、米国、NATO、欧州やインド太平洋を含む全世界のパートナーとの将来的な相互運用性を反映したもの」とした。
また、英国政府のプレスリリースによると、同国のリシ・スナク首相は、潜在的な安全保障上の脅威に対し、新しい防衛技術開発の必要性がある旨を強調した。
同プロジェクトに戦略的パートナー企業として携わる、イタリアの航空宇宙・防衛大手のレオナルドの12月9日付プレスリリースによると、同社英国法人のレオナルドUKは、2018年から「テンペスト」の開発に携わっていた。レオナルドのほか、イタリア企業では、防衛・航空宇宙・エンジンなどで実績のあるアビオ・アエロ、エレットロニカ、MBDAイタリアなどが参画する予定。レオナルドのアレッサンドロ・プロフーモ最高経営責任者(CEO)は「GCAPに関する政府の決定は、3カ国の効果的で有望な協力体制の証拠だ。航空宇宙・防衛産業にとって大きな挑戦となる。それぞれの国の技術を尊重し、過去にない高性能で運用能力の高い戦闘機を提供できるだろう」とコメントした。
(注)「ユーロファイター タイフーン」は、英国、イタリア、ドイツ、スペインによって開発された。
(平川容子)
(イタリア、英国、日本)
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