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(EU)

欧州ロシアCIS課

2022年12月09日

EU理事会(閣僚理事会)は11月28日、EU域内市場に歪曲(わいきょく)的な効果を及ぼす外国補助金(域外国政府による資金的貢献)に対処する規則案()を最終承認した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EU理事会と欧州議会は6月30日に同規則案について暫定的な政治合意に達し(EU理事会と欧州議会、ブラック)、欧州議会は11月10日に最終承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをしていた。

EUでは、加盟国政府による特定企業への補助金を原則禁止しており、国家補助ルールの順守を求めているが、EU域内市場で補助金を受けていないEU企業と域外国政府の補助金を受けた企業の間の公平な競争環境の確保の必要性が指摘されていた。規則案はこうした問題に対応するため、域外国政府の補助金を受けた企業のEU域内市場での活動について、欧州委員会が審査する枠組みを設定する。

規則案では、欧州委が域外国政府からの補助金に関して審査する手段として、大規模な合併や公共調達手続きで公平な競争条件を確保するため、企業に事前通知を求め、承認を行う。また、基準に満たない合併や公共調達についても、外国補助金による歪曲的効果が疑われる場合、欧州委は対象企業に報告を求め、審査を実施することができる。

合併・買収については、当事者となる企業の一方がEU域内で5億ユーロ以上の売上高があり、5,000万ユーロ超の外国政府からの資金的貢献を受けている場合、欧州委への事前通知が必要となる。公共調達に関しては、概算額が2億5千万ユーロ以上の公共調達に入札する企業が域外国政府による資金的貢献を受けている場合、欧州委への事前通知を求める。企業が事前通知ルールを順守しなかった場合、欧州委は罰金を科し、取引を審査する権限を有する。また、欧州委は原則として、規則の発効時点から過去5年間に提供された外国補助金について調査することができる。

欧州委は、外国補助金が存在し、それが域内市場の競争に影響を及ぼしていると判断した場合、EUの国家補助ルールの場合と同様に、バランシングテストを実施し、外国補助金がもたらすプラスとマイナスの効果を評価する。外国補助金による域内市場への歪曲的な効果が外国投資による経済効果を上回ると評価した場合、欧州委は合併や公共調達への参加を不承認とすることができるほか、外国補助金の返済や歪曲的効果を解消するための救済措置を企業に課すことができる。

規則案は欧州議会議長とEU理事会議長の署名を経て、EU官報掲載から20日後に発効し、発効から6カ月後に適用を開始する。

(土屋朋美)

(EU)

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