第3四半期のGDP成長率は前期比0.4%、GDPが初めて新型コロナ禍以前を上回る
(ドイツ)
ベルリン発
2022年12月01日
ドイツ連邦統計局は11月25日、2022年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(確定値、季節調整済み)を前期比0.4%と発表した。前年同期比では1.3%だった。また、GDPは、新型コロナ禍直前の2019年第4半期(10~12月)の水準を初めて上回った。
需要項目別の内訳をみると(添付資料表参照)、個人消費支出は、大幅な価格上昇とエネルギー危機にもかかわらず、前期に引き続き新型コロナウイルス感染防止のための行動制限解除に伴う旅行や外出の再開などにより前期比1.0%増となり、内需を押し上げた。また、建設投資は1.4%減と減少したものの、機械設備投資はとりわけ機械、器具、車両への投資が伸び、2.7%増と大幅に伸びた。一方、政府消費支出は0.0%と横ばい。輸出入は、緊迫した国際情勢にもかかわらず、全体的に増加した。ただし、輸出が2.0%増であったのに対して、輸入が2.4%増と輸出より増加したため、外需(純輸出)はGDP成長率の押し下げ要因となった。
産業別でみると、製造業が前期比0.9%増だった。エネルギー価格高騰の影響を受ける化学や金属などのエネルギー集約型部門が減少する中で、自動車や機械などの増加が貢献した。また、ほとんどのサービス部門も大幅に増加した。一方、建設は4.2%減と大幅に減少した。
景気見通しは下方修正も、景気後退は予想ほど深刻化しない可能性も
消費者物価指数(CPI)上昇率は、9月に前年同月比で10.0%と2桁台に突入した後()も引き続き上昇し、10月は10.4%と1990年のドイツ再統一以来の最高水準を記録した。11月は10.0%(速報値)と高水準で推移する。
インフレの進行による家計の購買力低下などを踏まえ、11月9日発表の経済諮問委員会(通称「五賢人委員会」)の予測では、2022年の実質GDP成長率は1.7%(3月予測では1.8%)、2023年はマイナス0.2%(同3.6%)と下方修正された。これに対し、ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は同日、企業は2023年に投資計画を大幅縮小し、輸出も悪化すると懸念していることから、2023年の経済見通しは経済諮問委員会の予測をはるかに下回るとの見方を示した。
一方、ifo経済研究所が11月24日に発表した11月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は、86.3と前月比1.8ポイントの増加に転じた。今後6カ月の見通しを示す期待指数も80.0と4.1ポイント増になり、悲観的な見通しが緩和された。同研究所のクレメンス・フエスト所長は「景気後退は、多くの人の予想よりも深刻ではない可能性がある」と指摘している。
(日原正視)
(ドイツ)
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