欧州委、ブラック ジャック 確率
(EU)
ブリュッセル発
2022年12月06日
欧州委員会は11月30日、炭素除去の認証枠組みの導入に関する規則案を発表した(プレスリリース)。EUは、2050年までの炭素中立を目指す「欧州グリーン・ディール」を掲げ、二酸化炭素(CO2)の排出削減に取り組んでいるが、農業、鉄鋼、航空など排出削減が困難な産業部門からのCO2の排出が続くため、炭素中立を実現するためには、排出削減と並行して大気中から炭素除去を進める必要がある。炭素除去活動には主に、バイオマス燃料の使用時に排出されたCO2を回収して地中に貯留する技術(BECCS)や大気中に既に存在するCO2 を直接回収して貯留する技術(DACCS)など産業技術を用いる永久貯留、アグロフォレストリー(樹木を植栽・管理しつつ、樹間で牧畜や農業を行う農林業)、森林再生、土壌改善などにより自然にCO2を土地に吸収させるカーボン・ファーミングなどがある。しかし、現状では自然界における炭素除去は減少傾向にあり、産業界による大規模な炭素除去も行われていない。そこで、この規則案は、有用性の高い炭素除去を推進するとともに、EUレベルでの任意の認証枠組みを導入することでグリーンウォッシング(実質を伴わない環境訴求)を避けること目的とする。
規則案では、EUレベルの炭素除去枠組みの一環として、炭素除去活動が満たすべき4基準として、(1)定量化、(2)追加性、(3)長期貯留、(4)持続可能性から成る「QU.A.L.ITY」と名付けられた基準を規定している(添付資料参照)。これらの4基準に基づく認証方法の詳細については、欧州委は今後、専門家グループとの協議のもとで策定する。
炭素除去活動を実施する事業者は、欧州委が承認した認証制度に申請し、独立した認証機関による定期監査を受けた上で、順守証明書の発行を受ける。承認制度において、透明性を確保するために、順守証明書は公的に登録される。認証枠組みの活用方法については、欧州委は、食品メーカーが順守証明書を持った農家を優遇することや、投資家が炭素除去技術に投資する際の判断材料に認証枠組みを組み込むことなどを想定している。
この規則案は今後、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議される。
農業部門は具体性に欠ける内容と認証手続きの煩雑さなどを批判
欧州最大の農業協同組合・農業生産者団体COPA-COGECAは同日声明を発表し、近年、欧州においてもカーボン・ファーミングが普及し始めており、欧州委の市場志向に基づく手法により、炭素除去を推進し、体系化しようとする意図は支援するとした。しかし、今回発表された規則案は、認証方法の詳細は成立後、関連法令で定めるとするなど具体性に欠けているのに加え、事業者の機密ブラック ジャック 確率保護が不十分となる可能性もあると批判した。
また、家畜の飼料用の添加物の調整、低排出の農業関連施設の設計や精密施肥(デジタル技術を活用し、コスト面でも効率よく、作物に肥料を与えること)といった、CO2排出を抑制する取り組みは「カーボン・ファーミング」の定義に入らず、認証の対象としていないことに強い不満を示した。また、認証手続きの煩雑さも課題だと指摘し、欧州議会とEU理事会に対して、認証枠組みを簡素化しつつ、規則案をより実用的なものとすることや、多くの農業事業者の取り組みを促すような支援の在り方を示すことを求めた。
(吉沼啓介、滝澤祥子)
(EU)
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