フランスでプラスチック包装認める野菜、果物の品目リスト、広範として無効に
(フランス、EU)
パリ発
2022年12月23日
フランスの最上級行政裁判所の機能を有する国務院は12月9日、プラスチック包装による野菜や果物の販売を例外的に認める「ばら売りでは傷む恐れのある野菜や果物」を列挙した2021年10月12日公布の首相令(施行令)を無効とする判決を出した。
2020年2月施行の循環経済法第77条により、2022年1月以降、小売店での1.5キログラム未満の未加工の野菜や果物のプラスチック包装は禁止されている。ただし、同法は「ばら売りでは傷む恐れのある野菜や果物を禁止の対象外として施行令で定める」としている。
施行令は2026年6月30日まで段階的な期限を設け、各期限までの販売を認める品目を列挙している(2021年10月20日記事参照)。
国務院は今回、施行令のリストには必ずしも品質を損なう恐れのない品目も含まれており、それらの品目に2022年1月1日以降も段階的にプラスチック包装での販売を認める期間を設けていることを違法と判断した。また、施行令は2026年6月30日から後は全て禁止すると定めているが、国務院は、政府が委ねられたのは無期限で対象外とするリストの作成だと判示した。その上で、新たな施行令によりリストを再策定するよう政府に求めた。
政府は、国務院の判決を受け、脆弱(ぜいじゃく)性の問題なく、ばら売りで販売できる野菜や果物のプラスチック包装禁止を維持するために、新たな施行令を早急に公布すると、12月9日に発表した。政府は、循環経済法による使い捨てプラスチック削減が優先事項であることを再確認するとともに、経済界の関係者を支援する必要性にも留意し、年間10億個以上のプラスチック包装の削減を目指して、非プラスチック包装への投資支援として4,000万ユーロの基金が用意されたとコメントした。
野菜や果物の生産者団体やプラスチック業界団体は2021年12月以降順次、代替の容器を開発するための移行期間が短すぎることや、施行令が定める禁止対象外となる品目の定義が不完全として、国務院に同施行令の無効を求めて提訴していた。
(奥山直子)
(フランス、EU)
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