スイス鉄道車両メーカー大手、カザフスタンで客車製造へ
(カザフスタン、スイス)
タシケント発
2022年12月22日
国営カザフスタン鉄道(KTZ)は12月13日、スイス鉄道車両メーカー大手のシュタッドラー・レールと、旅客車両の現地生産やメンテナンスに関する長期契約を締結した(投資促進機関カザフインベスト発表12月14日)。
契約額は23億ユーロ。契約締結のためカザフスタンを訪れたシュタッドラーのペーター・シュプーラー最高経営責任者(CEO)は、アスタナにある車両組み立て工場を従業員ごと買収し、2023年から2030年までの7年間で一般・寝台車両など計537両を生産することを明らかにした。現地調達率は2030年までに35%に引き上げる。車両に使われるアルミニウムは国産品を使用する。その後はメンテナンスを行いながら、工場の近代化と従業員の育成を行うほか、地元の工科大学と連携した専門家育成や高度教育を行う。将来的には輸出も視野に入れている(大統領ウェブサイト12月14日)。同事業については、2021年11月のカシムジョマルト・トカエフ大統領のスイス公式訪問の際に戦略的協力の一環として合意していた。
シュプーラーCEOは「このプロジェクトにより、シュタッドラー・レールは新規市場参入を果たし、CIS諸国でのプレゼンスを拡大することができる。わが社の製品とノウハウによって、カザフスタンの鉄道を1つ上の次元に引き上げる手助けができる」と述べている(同社発表12月13日)。
カザフスタンは国家戦略として鉄道車両の国産化を進めてきた。2009年に米国ゼネラル・エレクトリック(GE)傘下のGEトランスポーテーションの技術移転で、機関車メーカーのロコモティフ・クラスティル・ザウーティがディーゼル機関車を生産、2011年にはスペインの車両メーカー、パテンテス・タルゴの技術移転で、鉄道車両メーカーのトゥルパルが高速旅客車両「タルゴ・トゥルパル」のライセンス生産を開始した。製品は国内の路線で使用されているほか、一部は輸出されている。
(増島繁延)
(カザフスタン、スイス)
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