米イリノイ州知事、EV再構築法の改正法案に署名
(米国)
シカゴ発
2022年12月27日
米国イリノイ州のJ.B.プリツカー州知事(民主党)は12月21日、電気自動車(EV)再構築法(Reimagining Electric Vehicles in Illinois Act)の改正法案に署名した。この法案成立によって、同州でのEV生産の奨励策をさらに強化し、雇用の維持・創出する狙いがある。
今回の法案での新たな優遇措置の目的は、州内の既存工場のEV生産工場への転換支援や、メーカーにEV部品の生産を拡大する能力を与えることによる州全体のEVエコシステムの強化としている。優遇措置には、所得税、研修費用、投資での税額控除や免税、州内の管轄区がEVに関連するプロジェクトに対して固定資産税を減額できることなどを盛り込んでいる。
州政府が同法案の成立を迅速に行った背景には、「デトロイト3」の1つステランティスの状況がきっかけとの報道がある。イリノイ州ベルビディアにあるステランティスの組み立て工場は、現在ガソリン車仕様のジープのチェロキーを生産しているが、2023年2月末には稼働停止するという。同車種の売り上げは2018年には24万台と同社のラインアップの中でも人気だったが、2021年には9万台以下、2022年第3四半期(7~9月)までの販売台数はその60%以下となっている。また、同組み立て工場での現在の労働者数は2019年の約5,000人から1,350人と大幅に減少している(オートモーティブ・ニュース12月9日、12日)。同社は稼働停止の理由として、新型コロナウイルスのパンデミックや半導体の不足に加え、特にEV事業でのコスト上昇が主な理由だとしている(ロイター12月10日)。
このほか、イリノイ州シカゴにはフォードのスポーツ用多目的車(SUV)エクスプローラーや同車種の警察車両の組み立て工場があり、約5,800人が就業している。EV関連では、EVスクールバス製造のライオン・エレクトリック(本社:カナダ)、ハイエンドEVピックアップトラック製造のリビアン(本社:カリフォルニア州)、EV用コンプレッサー製造のTCCI(本社:イリノイ州)などがある。
(星野香織)
(米国)
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