ロンドンで気候変動分野のスタートアップピッチイベント開催
(英国)
ロンドン発
2022年12月22日
英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)と、ロイヤル・インスティテューション(RI)は12月8日、気候変動分野のイノベーションに貢献しているスタートアップを集めたピッチイベントを共催した。テーマは「循環未来の構築」「建築環境の脱炭素化」「自然資本による気候変動対策」の3つ。
ピッチを行ったのは、ICLとRIが共同で立ち上げた気候変動イノベーションセンター〔CCCI、今回のイベントで、アンドーンテッド(Undaunted)に改称〕のアクセラレータープログラム、ザ・グリーンハウスに参加する企業。ザ・グリーンハウスは、アーリーステージのスタートアップに対し、コーチングやワークスペース、補助金などを提供している。
ザ・グリーンハウスでは、前身のアクセラレータープログラムも含めて、これまで150社超を支援、うち約7割は現在も操業中で、10億ドル超の資金調達に成功している。
冒頭でロンドン副市長のシャーリー・ロドリゲス氏が登壇。ロンドンにおける低炭素・環境関連の財・サービス分野の規模を紹介し、売上高は400億ポンド(約6兆4,400億円、1ポンド=約161円)、約25万の雇用を創出していると述べた。このほか、アンドーンテッドが入居するRIのビルの環境負荷削減のため、435万ポンドを拠出することも発表した。
ピッチには計13社が参加。うち、カーボンネガティブな建設資材を製造するバイオゼロック(BioZeroc)、食品廃棄物から染料を作るセージズ(Sages)、作物の種子に肥料を直接与えるネットゼロナイトロジェン(Net Zero Nitrogen)が参加者の投票でトップ3となった。その他、レイディエント・マター(Radiant Matter)は生分解性のスパンコールを開発。同社によると、英国でクリスマスや年末年始に女性が購入するスパンコール付きの衣服は約3,300万着で、うち170万着は5回の着用後に処分されるとしている。従来のポリエステルのフィルムやビニール製のものと比較すると、同社の製品は環境や健康にとって安全としている。
また、ザ・グリーンハウスを卒業したノットプラ(Notpla)も、ピッチ登壇者を祝福するためイベントに参加。同社は食品・飲料用の包装製品などに使用可能な、海藻を原料とする生分解性のプラスチック代替品を開発。直近では英王室のウィリアム皇太子が創設した「アースショット賞」で100万ポンドを獲得している。
(レイナー・あや、エルカザーニ・小百合・アミナ)
(英国)
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