11月の米小売売上高は前月比0.6%減、予想下回る2カ月ぶりの減少
(米国)
ニューヨーク発
2022年12月16日
米国商務省の速報(12月15日付)によると、11月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.6%減の6,894億ドルで、2カ月ぶりの減少に転じ(添付資料表参照)、ブルームバーグがまとめた市場予想の0.2%減よりも減少幅が大きかった。なお、10月の売上高は前月比1.3%増(速報値)から改定されなかった(関連実写 版 ブラック ジャック)。
自動車・同部品、建材・園芸用品、無店舗小売りなどが押し下げ要因に
売上高の減少は13業種中9業種と広範囲にわたった。業種別にみると、自動車・同部品が前月比2.3%減の1,265億ドル、寄与度マイナス0.43ポイントと全体を最も押し下げた。次いで、建材・園芸用品が2.5%減の425億ドル(寄与度マイナス0.16ポイント)、無店舗小売りが0.9%減の1,091億ドル(同マイナス0.15ポイント)で減少に寄与した。一方、フードサービスは0.9%増の904億ドル(寄与度プラス0.11ポイント)と増加した。
今回の発表を受け、全米小売業協会(NRF)のチーフエコノミストのジャック・クラインヘンズ氏は「雇用や賃金の上昇、(新型コロナウイルスの)パンデミック中に積み上げられた貯蓄がホリデーシーズンの買い物客を支えた」と述べた一方で、インフレと金利の上昇によって消費者の家計は圧迫されているとの見方を示した。また、11月末が年末商戦の本格的な出足となったが、同氏は、小売り各社が10月の早い時期からセールイベントを実施したことが大きなハードルとなり、需要の減少につながったと指摘している。
また、民間調査会社コンファレンスボードが11月29日に発表した11月の消費者信頼感指数は100.2と、10月(102.2)より2.0ポイント減少し、2カ月連続の低下となった。内訳をみると、現況指数は137.4(10月:138.7)で1.3ポイント減少し、2021年4月(131.9)以来の低水準となった。6カ月先の景況見通しを示す期待指数は75.4(10月:77.9)で2.5ポイント減少した(添付資料図参照)。期待指数が80を下回ると景気後退のリスクが高まっていることを示しており、先行きに対する消費者の懸念が強まっている。
コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのリン・フランコ氏は、消費者信頼感が低下した背景について「ガソリンと食品の双方の価格(の上昇)を主因に、インフレ期待が7月以来の高水準に上昇した」と述べた。また、先行きについては「消費者の短期的な見通しに対する期待は、依然として暗い。実際に期待指数は80を下回っており、景気後退の可能性が依然高いことを示唆している」と指摘した。
(樫葉さくら)
(米国)
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